雨けぶる森の広場の中で、傘を広げたgolsonのポートレイトが大変印象深い。色調をダーク・カラーのモスグリーンで整えたesmond edwardsのジャケットデザインのセンスも実に良く、雨の日の午後に感じる気怠さと情緒の感覚がうまく演出されていると思う。
冒頭“staccato swing”はこの盤の(というより“ゴルソン・ハーモニィ”の)決定打であり、golson独特の、ブルースの泥臭さをそのまま洗練に精華させた管アレンジが滑り出す途端にぱっと上記のような感覚が刺激される。作曲はray bryantという事だが、ここにgolsonは粋な編曲を施していて、curtis fullerが下降音形を、golsonが上行音形を同時に吹奏する事で繊細な音色の万華鏡のようなサウンドスケープが生まれている。fullerがこれ程溌剌としたソロを取るのも珍しい。
golsonの粋な手腕は“枯葉”のテーマでも(fullerのオブリガート風パッセージをスコアリングしている)、続くやはりアーシーさと洗練の同居する“soul me”でも極めつけといっていいほど輝いている。
なお、編曲の腕と裏腹にあまり評価されてないgolsonのテナーのアドリブですが、独特な厚みのある甘いトーンは随所で非常に美しく鳴っていて、やはりfullerとの音色上の対照と調和には溜め息が出るばかりです。