ショパンのピアノ協奏曲に心を奪われてから幸せな時間に浸っている。そんな中でいろいろなCDを聴いたが、ピリオド楽器によるショパンにも興味を持ったので(ピリオド楽器による演奏は嫌いじゃない)、買って聴いてみた印象を少々。
ピアノはダン・タイ・ソンで、1980年のショパンコンクール優勝者。オケは18世紀オーケストラで、指揮はブリュッヘン。ちなみにダン・タイ・ソンが弾いているピアノは、1849年のエラール。ショパンが愛したピアノは、ご存じの通りプレイエルとエラールで、そのうちの後者を用いた演奏であるが、できればプレイエルの方で聴いてみたかった気もする。1、2番とも2005〜2006年にワルシャワの音楽祭(「ショパンと彼の時代のヨーロッパ」と銘打ったものらしい)でのライブ演奏で、咳がはっきり聞こえる箇所がある(それも1番第2楽章のいい所で…オゥ空気読ンデクダサイ)。
結局この演奏に惹かれるかどうかは、このピアノの音が許せるかという点にかかってくるだろう。何て言ったらいいのか…コロコロと紡ぎ出される音の粒…以前聞いたモーツァルトのピリオド楽器によるピアノ協奏曲とも違う。「奥ゆかしい」とでも表現したらいいのか、強音でも決して押しつけがましくない、朝露が光り輝くような「清澄な」ショパン。個人的にはこんな世界もありかと思っている。
もう一つ、録音状態について。どちらもホール全体で音が解け合った感じだが、1番の方が残響音がやや強い。2番の方が個々の楽器の分離がよく、ピアノの音の輪郭がはっきりしているように思える。個人的には後者の方が好きだ。ちなみに、1番はワルシャワ・フィル・コンサートホール、2番はワルシャワ大劇場という表記がある。
でも、モダン楽器によるショパン(例えば、ブレハッチなど…)がやっぱり好きだと感じた点と、ショパンのピアコン好きには是非お勧めしたいと思った点で、5に近い☆4としたい。