80年発表の4作目。前作発表後、アルギー・ワードが脱退。新たに元エディ&ホット・ロッズのポール・グレイ(b)を迎えて本作を制作/発表している。本作はアナログ時代は2枚組として発表されており、タイトルもあってビートルズの通称『ホワイト・アルバム』に対抗したものと広く伝えられている。またそうしたタイトルのみのパロディに留まらず、既成路線の楽曲に加えてグルーブとしても新たな試みが行われており、アコースティック・ナンバーやアルバムのC面全てを費やした大作「カーテン・コール」なども含まれており、またD面にはライヴ音源が収録されるなど内容にも類似点が感じられるものとなっている。とは言えそうした新しいアイディアや意欲が全て上手くいったとは言いがたく、ある意味でグループの失速に繋がってしまったというのが現在の本作の評価であろう。
1.は彼らにしてはかなりソフティケイトされたパワー・ポップ曲。レコーズあたりにも通じるなかなかの佳曲になっており、中間部にはアコギのパートを導入するなどアレンジ的にも余裕と深みのようなものが感じられる。彼らの隠れた名曲の一つだろう。2.はラモーンズをちょっぴり硬派にしたような曲。むき出しといったトーンのシンセも導入されており、それがいかにもなニューウェイヴ臭を感じさせて入るが、こちらも彼ららしい硬派な佳曲に仕上がっている。シンセのノイズの隙間を縫う、やさぐれたギター・ソロも聞き物である。3.はアコギを中心にしたダークなフォーク・ロック。アコギを使用しても彼らの持ち味はそのままというのが嬉しい。ちょっぴり中期のジャムの雰囲気もあるが、それくらいに良く出来た良い曲である。エンディングにはピアノ・ソロまで登場する。4.はダークな雰囲気を持った彼ららしいパンク・チューンだが、ギターのフレーズにはビートルズからの影響も感じられるなど楽曲そのものはかなり親しみやすい。ハンド・クラップまで登場するのにはちょっと驚いたが、こちらもなかなかの佳曲である。
各曲に様々な試みが試されておりそれが意外とハマっているため、サウンド面の面白さはダムドでも一番だが、それ以上に楽曲が良く練られていて聞き応えがある。様々なアイディアが導入されてはいても彼らの持ち味のやさぐれたダークな雰囲気は全く削がれていないのも嬉しい。本作が彼らの代表作に挙げられることはまずないようだが、バンドとしては本作が間違いなくピークだろう。