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マーク・モリスのソロアルバムの構想は2004年から始まっていたようで、ブルートーンズの活動の合間を縫ってここ何年か地道なソロ活動をしてきました。そしてバンド本体の活動が中休みになったここに来て、遂に発表された彼にとっても念願のソロ作品。
純粋な新曲は1・3・6・10で、限定EPでリリースされていた曲の再レコーディング版が2・4・7・8・9、さらにこれまでソロライヴで多くのカバー曲を披露してきたマークが、ここではTeenage Fanclubの5と、主に60〜70年代に活躍したSSWのLee Hazlewoodの11を取り上げています。つまり、このアルバムはこれまでのマークのこれまでのソロ活動の集大成であり、印象的な「夢の筋肉」というタイトルも、マークの長年の夢を具体化したもの、という意味ともとれます。
アルバム全体の作風は、やや陰りを帯びたアコースティックポップといった趣で、エレキはほとんど使われていないと思います。これはアルバム制作時に念頭にあったという、ニール・ヤングやラヴといったアメリカのフォークロックの影響が色濃く出ているものと思われます。EPで発表されていた曲は、アルバム用に多彩なアレンジにそれぞれ作り変えられていますが、個人的にはストレートなアレンジのEPバージョンの方が好みです。しかし、壮大なフラメンコ風に生まれ変わった「I'm Sick」は、元のバージョンとは異なる新たな魅力を得ることに成功しています。また、著名な映画音楽家David Arnoldがストリングス・アレンジで参加していますが、それに飲み込まれず自分の音楽を主張できているのはやはり流石。
個人的なお気に入りは、ユーモラスな「How Maggie Got Her Bounce Back」、先行シングルに選ばれた「I'm Sick」、マークらしいキュートな解釈で再構築したカバー曲の「Alcoholiday」、切ないバラッド「Lay Low」あたりでしょうか。「Lemon and Lime」や「Unwanted Friend」、「Bienvenido」も、EPバージョンの方が好きですが、いい曲です。
ブルートーンズが時折見せるガッツあるロックナンバーといった類はここでは皆無なので、「アダムのギターがあったらなぁ」と思う点もありますが、それはバンドの次作に期待しています。とにかく、ここにはブルートーンズ同様、聴きながらついつい一緒に口ずさんでしまう曲が詰まっています。それこそが、このアルバムが魅力的である何よりの証拠ではないでしょうか。
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