‘05年、フランス映画。ルーマニアで、‘02年に実際にあった事件の映画化、だそうです。
森の中の一軒家に住む若夫婦が、ある晩突然、謎の集団に襲われるというお話。
‘00年代、スプラッター大国として勃興したフランス製という事で、そのつもりで観ましたが・・・・。
冒頭、帰宅途中の車で、なぜか化粧をしているバカ娘なんか、派手にブッ殺されちまえ!
と期待していると、そういう映画ではありませんでした。
とにかく話も画も、地味かつシンプル。外連に欠ける小品、と言ったところ。
観る人によっては、襲ってくるTHEMの正体は、睡魔だった・・・・という事になりかねません。
しかし、劇映画としての面白味を求めず、事件を目撃するつもりで観れば、充分に楽しめる佳作。
(いや、楽しめるという表現が相応しいかは疑問ですが。)
ザラついた画質、適度な手ブレ撮影が、ドキュメンタリー・タッチの臨場感を盛り上げます。
派手な効果に頼らない、丁寧なサスペンス演出も、一流の仕事でしょう。
相手も理由も不明なまま、エスカレートしていく襲撃は、あまりに不気味かつ不条理。
それに直面した夫婦の恐怖が、リアルに伝わってくる、よく出来たスリラーだと思います。
しかし、よく出来ているからこそ・・・・カタルシスのない内容に、受ける心のダメージも大きいです。
わざわざお金と時間を費やして、こんなシリアスに嫌~な映画を観て・・・・
あぁ、自分は一体、何をやっているのか? こんな俺の人生に、何の意味があるのだろう?
などと自問自答してしまいます。それでも、好きだから観ているんですけど。
なお、実話云々というのは、眉唾かと。「悪魔のいけにえ」と同様のデマゴギーなのでは?
まぁ、それを言うのは野暮ってものでしょうか。