73年発表の4作目。前作発表後にリード・ヴォーカルのマーティン・グリフィスが脱退。そして本作制作途中にレイ・ウィルソン(dr) が脱退(本作では6曲のプレイでゲストとしてクレジットされている)し、新たにリンニー・パターソン(vo)、コリン・フェアリー(dr、vo) の二人が加入とグループの激変期に発表された作品で、内容も一気にポップ化が進んでいる。1.は、スティーヴ・ハウがやりそうなギター・インスト風のイントロからヘヴィなフォーク/ブルー・グラス風のヴォーカル・ナンバーとなる。基本はフォーク・ダンス風の軽快な曲なのだが、それを感じさせない重さが心地よい。ピアノ・ソロも秀逸だが、それに対比するかのようなルーズなギター・ソロ、それに続くペダル・スティールというソロのリレーのようなエンディングも聞き応えあり。2.はブギー・ベースのカントリー・ロックで、前作までの流れを全く感じさせないストレートな仕上がりだが、哀感を強く感じさせるサビのメロディには英国臭が強く漂う。グルーヴィーなオルガン・ソロも従来の彼らとは一味違っている。3.はブルース・ロックをベースにしたバラードで、泣きのメロディに英国田園ポップのテイストを加えてクドさを押さえた仕上がり。ワウを噛ませたギター・ソロも短いながら濃厚な味があって聞き応えあり。6.は彼らの曲の中でも人気が高いものの一つで、メロトロン、ムーグ、チェンバロなどが導入された前作までの流れを汲むシンフォニック・ロック路線の曲。本作の中ではこの曲だけ全く別物だが、流れの中で違和感なく収まってる。
(一部を除いて)前作までのプログレ/シンフォニック・ポップ色を排除して純然たる英国ポップとして勝負を掛けた作品で、実際問題としてかなり出来が良い。メンバーの変化とスタイルの変化など前作とは流れが分断されている部分は否めず、その点が気になるのは仕方がないが、スタックリッジやサンダー・クラップ・ニューマンあたりの作風としてはかなりの秀作である。本作同様にジャクソン・ハイツの後半の2枚やマシュー・フィッシャー(元プロコル・ハルム)の初期2枚など地味ではあるものの英国ポップの名盤がまともに評価されることを切に願う。