74年発表の6作目。元々はアナログ2枚組(CDでは一枚に収録)で発表されたラス・バラード脱退前のオリジナル・メンバーによるライヴ盤。当時の最新アルバムだった『連鎖』からの曲が3曲と多いが、グループのヒット曲10.そして後にキッスがカヴァーして大ヒットを記録した4.などはきちんと押さえられている。その上でラス・バラードがコリン・ブランストーンに書き下ろした名曲の7.そしてゾンビーズ時代の大ヒット曲11.のアージェントとしての演奏も収録されており、希少性を加味している。本作は彼らの唯一のライヴ盤ではあるが、代表曲をある程度意識したベスト盤的な要素もあり、またラス・バラードとロッド・アージェントの双頭グループ時代の貴重な記録にもなっている。冒頭のプログレ・ナンバーからも察することが出来るように、この時点で既にロッドの方へグループの主導権が移っているのは明白だが、間に甘美なラスの曲が演奏されるバランスの良さも本作の魅力だろう。鉄壁のコーラス・ワークを聞かせる7.を聴いているとラスの脱退を前にしてグループが解散も考えていたことも納得がいく。
音質は良好で演奏も素晴しい。ラスのハードなギターが強く印象に残るが、この時代のメロトロンを含むキーボード群の音色もマニアにはたまらないと思う。