久々のオリジナルアルバムで大変期待していたのですが、3回ほど通して聴いてみた現段階での感想は退屈な曲が多いな、と言わざるを得ません。熱心なファンの方には批判を受けるかも知れませんが、ポール師匠の楽曲のクオリティは「Stanley Road」の頃をピークに下降してきているのでは無いでしょうか?今回の作品もB面集みたいな印象を受けてしまいました。「Studio150」みたいな良質の楽曲があふれ、かつポール自作の曲で構成されたものが、いつの日か発売されるであろう次回のアルバムになることを期待します。Come On / Let's GoとかFrom The Floorboards Upとかは見かけ上キャッチーで勢いがありますが、ただそれだけの気がします。私はこのアルバムの売り上げが知りたいです。なぜならポップミュージックのクオリティというのは売り上げにかなり反映されると思うからです。
"Blink / You'll Just Miss It"や"Come On / Let's Go"はアップテンポで、綺麗、艶麗なポップソングで、私達に高揚感や快活、晴れやかさを与えてくれます。"The Start of Forever"ではアコースティックな彼の魅力―つまり彼の最大の魅力である声―を堪能できます。また、"I Wanna Make It Alright""Savages"では、彼の鋭敏な感性を感じることが出来ますし、ウェラーにしか出来ないオリジナリティをも兼ね揃えた佳曲です。
アナログはゲートフォールド2ビニールで、CDと曲順が違います。多分こだわりのあるポール・ウェラーですからアナログ重視で構成されたと思われます。3~4曲が4つの顔で構成されており、CDを通して聞くよりまた違ったこのアルバムの世界が見えてくるようです。SAVAGESで始まるside3、FROM THE FLOORBOARDS UPからBRING BACK・・・へなだれ込むside4。なんか、ビートルズのホワイトアルバムに通じるものを感じてしまいました。彼でしかできない大傑作です。是非、アナログの曲順で聴いてみてください。
4月1日zepp tokyoのライブを観てきましたが、この”as is now”収録曲が大半を占め、楽曲に対する完全な自信とパフォーマンスの力強さに圧倒されました。ミュージシャンとして更に更に日増しに強くなってゆく、そして聴衆に勇気を与える歌を届けるという事はキャリアを積めば積むほど困難極める事だと思います。初期ソロ作品の”INTO TOMORROW”という言葉が今も、そしてこれからも彼の中で響いていくんだなと感じました。音楽への惜しみ無い愛情が作品全体を包んでいます。