初期のRCのファンです。このアルバムは自分が高校時代友達がLPで持っていて録音させてもらって愛聴していました。
「 ラー・ラー・ラ・ラ・ラ」が好きです。「♪このメロディー君に捧げるよ 僕が作ったのさ 君のために~」単純な構成ですが、チープなギターを中心にばらけた楽器の音が美しくちりばめられていて、ボーカルもコーラスもしょぼ上手い見事な演奏だと思います。当時もその良さを味わって愛聴していました。何百回聞いても楽しめる、自然に涙がこみ上げてくるじわりサウンドです。
「あの娘の悪い噂」が一番ハードな曲かな?「自分の大好きな子の悪い噂を聞くと心が痛む。」こんなありがちな?内容で素直な主人公の気持ちが共感できます。コーラスが絶妙で大好きです。清志郎の歌はクレージーでシャウト中心に思われがちですが、歌詞もイントネーションも日本語に忠実で非常に聞き取りやすく、音程も正確で丁寧な歌い方だとわかります。雑然と演奏しているようでいて細部まで神経の通った音楽になっています。だからこそ聞く人にストレートに気持ちが伝わるんだと思います。
圧巻なのは「もっとおちついて」です。あの子はバスの中でまで手紙を書いている。そんな手紙が来る。(別の)ボーイフレンドのバイクにのってその手紙を出しに行く。二股をかけられているのかそんな手紙をもらっても複雑で素直に喜べない。家出を図った夜明けの町から電話がくる。どうして上げることもできない切なさ。そこで「♪もっと落ち着いてぼくを愛して~」と高まって歌い上げている。
女の子を自由に選んで好きなようにできる「ロッカー」とは正反対のどんくさい主人公の気持ちを見事に表現している。かっこよくない歌の中の主人公たちがこのアルバムにちりばめられているから、いつ聞いても誰が聞いても「共感」できる。
最後の自転車ソング2曲も学生時代の胸キュンな思いでが蘇るかな?
名盤 の名がふさわしいアルバムだと思う。50を過ぎた今でもときどき聞いています。