往年の名作パワードール2コンプリート版です。
私はパワードール1作目(リメイク版ではない方)と4作目をプレイ済みですが、
ターン制戦術シミュレーションの名作と名高い本連作(2 , dash , advanced )はプレイしそびれていました。
他の方のレビューや、様々なサイトで言われている通り、本作を含めたパワードールシリーズは
非常に硬派な戦術級シミュレーションゲームです。
プレイヤーが指揮する事となる第177特務大隊、通称"DoLLS"は主な隊員は全て女性です。
(設定では隊を運営する裏方には多くの男性隊員もいるようですが)
この設定で一見すると軟派なロボット戦術シミュレーションかと思いきや・・・とてつもなく歯ごたえのある、
かつ、様々な状況に試行錯誤できる、自由度のあるゲームです。
恐らく各シナリオ(特殊任務=破壊工作、要人救出、拠点防御等々、任務は多彩です)の攻略法はプレイヤー一人ひとり違ってくるはずです。
その自由度を支えるファクターには作戦背景の戦況把握に始まり、作戦立案(非常に緻密です)から隊員選別、
兵種、兵装選択、等々があります。
一筋縄ではいかないですが、攻略法など調べずに自分で分析、立案した作戦を遂行した時の
カタルシスはこのゲーム意外ではちょっと味合えません。
しかし、私が初めて1作目に触れた時には、その魅力に気づかず、そのあまりにも地味なインターフェイスや
戦術画面に、ある意味圧倒されたのはいい思い出です。
本作では1作目よりも整理されたインターフェイスとはいえ、現在のゲームからすればやはり見劣りします。
戦術画面は戦術ボードゲーム的な表示で、フロントミッションの様な戦闘グラフィック等は皆無です。
コンプリート版と言う事で、その辺りを現代風にリメイクするといった方法もあったかと思いますが、
個人的にはこのままで良かったと思います。
その理由として、グラフィック的に省略された作戦立案、戦術画面にはプレイヤーの想像力を
大きく膨らませる余地を与えてくれているからです。
RPG作品にウィザードリィというこれも古くから愛されているゲームがありますが、あの感覚に近いものがあります。
文字と線が支配する迷宮はプレイヤー一人ひとりが好きなように想像し、肉付けする余地がありました。
火器管制システム、センサーが故障寸前、兵器残弾も残り僅か、ストックマガジンゼロ。
片腕は破壊され僚機達も持ち場の応戦に手一杯な状況。脚部に被弾し、移動が困難な僚機もいる。
空と陸からの支援砲撃も尽きてしまった・・・しかし目的時間まで拠点防御しなくてはならない。
こんなシチュエーションに想像力をプラスして燃えてしまえる方にはオススメだと思います。
(・・・ここまで追い詰められるのは作戦立案の時点で問題があった例かもしれませんが・・・)
特典のリマスタリングサウンドトラックCD、2作のOVADVD、アートワーク冊子。
そして付属マニュアルでは補えなかった点を補完してくれる詳細な世界設定、基本戦術、コミック等のPDFファイルが5作。
非常に充実しています。
ただ、残念ながらBGM関連でバグがあるようです。
[ XP環境 ] (2011年10月現在パッチ配布未だありません / 以下【追記】に修正パッチに関して追記しました)
個人的にはゲームプレイに支障はないので(少数のシナリオに対してだけの問題のようなので)気にしていませんが・・・。
画面表示領域に関しては最初からウィンドウモードなので戦術マップは好きな大きさでプレイできますので、
PC98版の様に窮屈ではありませんでした。
【追記】上記のBGM関連バグですが、コメントにて情報を頂きました。(2013年8月23日現在)
なんだか地味そうだけど、歯ごたえがあり、想像力を刺激してくれる戦術級シミュレーションゲームが
プレイしたいと思っている方は一考してみてはいかがでしょうか?