2007年のファースト『ロラ&ソーダ』から1年半以上の
インターバルを経てリリースされたセカンド。
ふたりきりの世界でのびやかに歌って、奏でていた彼女たちが
今度は
柚木隆一郎(EL-MALO)や豊田道倫(パラダイス・ガラージ)を
ゲスト・ヴォーカルに迎え
さらに千住宗臣(PARA、ウリチパン郡)武村延和、
蔦木俊二(突然段ボール)の手になるリミックスも収録と、
世界にかかわる人たちと
手をつないでのびやかに歌って、奏でている姿が見える。
(その点では、王道ではないけれども、バンド的な印象も受ける)
言葉は記憶、世界、歴史、感情
あらゆるものを記録するものならば
それを乗せるメロディとは、彩るサウンドとは
いったいなぜ、存在しているのだろう。
なぜ、歌は生まれてくるのだろう?
不意に、そうした原点の疑問にたどり着く。
歌もの、アヴァンギャルド、ポップ、ラヴソング。
いろんな形容がこのアルバムの頭上をかすめるけれど、
知識や理解を飛び越えて
ただもう、本能に最も近しいところで彼女たちは歌っている
そんな気がするのだ。
地団太を踏んでしまうような期待も
閉じ込めた悲しみも、嬉しさと同時に訪れる寂しさも
このアルバムには詰められている。
美しいピアノの影には、切ない激情が隠されている。
穏やかな闇の中で、信じられる人々と手をつないで作った作品。
それが、誰かの心と響きあうこと。
光の当たりかたとは、そういうものかもしれない。
闇にも近い寒色のジャケットの幻想的なイメージも
彼女たちのサウンドをありありと映しているが
その隙間からは、どうも陽だまりのような温かさを感じるのだ。