LP時代には「幻の名盤」として知られていたアルバム。この手のものには、いざふたを開けてみると拍子抜けするものが結構あるわけだが、本作品は、まさしく「幻」の名にふさわしい立派な演奏に満ちあふれている。ピアノを弾く喜びが前面にあふれ出たような愛すべきソロの連続で、大向こうをうならせるような仕掛けや、派手なテクニックあるいはフレーズのひけらかしというものは見られないが、慎ましやかななかにも、随所に光るものが発見できて、とても好感が持てる。
ブライアントで何か1枚、といわれたら、躊躇うことなくこのアルバムを推したい。