『STYLUS』はオーストラリアを代表するメロウ・グルーブ系ブルー・アイド・ソウル・グループ。
デヴュー前にスタイラスの面々が愛聴していたのがスティーヴィー・ワンダー、アヴェレイジ・ホワイト・バンド、スピナーズ、オハイオ・プレイヤーズ、ルーファス、スタイリスティックスというところからうかがえる通り、SOULとFUNK MUSICに影響を受けたサウンドで、アヴェレイジやアイズレー・ブラザーズのメロウなところをさらにポップ寄りに仕上げた若々しい音である。
私の好きな柑橘系ファンクの系譜に連なる音であり、どこか甘酸っぱいところが堪らなくいい。
フリーソウルの世界では超有名な曲らしい1「World of Make Believe」は評判通りの名曲だ。
メロウでありながら爽快感たっぷりの好印象はアルバム終了まで持続する。
あまり語られないが2「All In The Game」は個人的なベストトラックである。西海岸サウンド的な爽やかでポップなところが気に入っている。
3「Will This Continue To Be」も1に負けない名曲で、フィリーっぽさやアイズレー的なリズムが心地よい。
イントロのツインリードギターが印象的な、アイズレーの影響を感じさせる佳曲4「Just Begun」に続き、アイズレーのカヴァー(笑)5「Summer Breeze」
そうシールズ&クロフツ72年の名曲である。
アイズレーを下敷にしながら、より躍動感を感じさせるこれは名カヴァーといっていい。Great3やアイズレーもいいが、私はStylusに軍配を挙げる。
アナログ旧B面の6「Paradise」は鳥の囀りとフルートが印象的なイントロのミディアム。聴いていてジェシ・コリン・ヤングの『Light Shain』を思い出した。思えばほぼ同じ時期ですね。
7「I'm So In Love With You」はファルセット気味のヴォーカルと、ソウルグループ的なコーラスが聴き所の爽やかな名曲。これ好きです。
スケールの大きいバラードのタイトル曲8「Where In The World」に続きノリノリのStylus的ロックンロール9「I'm Going Home」でこのアルバムは終わる。
エリック・カルメンが作りそうなゴキゲンな曲である。
今回の世界初CD化の紙ジャケはオクラ入りした未発表曲3曲が収録されている。
ファンクチューン10「Can't Get It Out Of Your Head」11「Funky Fig」がなかなか良い。前者からはオハイオ・プレイヤーズの、後者からはアヴェレイジの影響が垣間見える。
掘り出し物だったのは12「Feeling Blue」
ケニー・アルトマン作のEW&Fのカヴァーだが、これは堪らない!
彼らの最高傑作とされる洗練された4thも良いが、彼らの原点とも言うべきこのファーストは、曲そのものの良さと少し荒削りだが躍動感溢れるサウンドが素晴らしく、どちらか迷ったらファーストをお勧めする。