タイガー商会が『地球ゴマ』を発売したのは、なんと1921年(大正10年)!
今年(2021年)で 100周年になります。
発売以来、地球ゴマは人々の心の中にたくさんの「?」を呼び起こしてきました。
私もまだ子どもだった頃にお祭りの屋台などで地球ゴマの実演を目にして、「ふっしぎ〜っ!」と思ったものです。
きっと中には地球ゴマがきっかけとなって後に物理学(力学)を学び始めた子もたくさんいたことでしょう。
物体が回転する。たったそれだけで、面白い運動が起こる。
回転軸の向きを一定に保とうとする効果と、回転軸の向きを変えようとするとその向きと直角の向きへと回転軸が逃れようとする効果。…「ジャイロ効果」というやつです。
地球ゴマがあれば、ジャイロ効果を自分で感じつつ、いじりたおすことができます。それも、比較的安価なお値段で。(現在はプレミア価格がついて、10倍近くに上昇してますが…。)
私も地球ゴマを手にすることで、ジャイロ効果や回転モーメントなどを「実感」することができました。
まさに地球ゴマは「科学玩具の王様」です。地球ゴマに比類しうる科学玩具といったら、「磁石」とか「ばね」くらいのものじゃないでしょうか。
そんなわけで、2021年に『地球ゴマ 発売100周年』のイベントの一つもあってしかるべきなのですが、残念ながら主役が不在。
2015年、地球ゴマが生産されなくなってしまったのです。
職人の高齢化 & 後継者不在という、現代の日本の至る所、至る領域で起こっている問題から地球ゴマも逃れることができず、製造・販売元のタイガー商会が幕を降ろすことになってしまいました。
「これだけ回転体の力学を手軽に学ぶことができる玩具なんだから、大企業とか大金持ちとかがなんとかしてやれよ〜!」と当時歯ぎしりしたものでしたが、幸いにしてタイガー商会の技術を引き継いだ方が会社を興し、『地球ジャイロ』と名を変えた、より精巧な地球ゴマを製造・販売なさっています。
お値段が少しばかり張るのが残念(22,500円)ですが、地球ゴマが継承されてホッとしました。興味のある方はぜひ「地球ジャイロ」で検索を。
海外製の地球ゴマもありますが、精度がイマイチですものね。
ジャイロ効果は、現代でもいろんなところで利用されています。
今日、GPSのおかげで位置を精密に知ることができますが、GPSのエリア外になってしまう地中や宇宙空間となると、方向や回転を精密に計測して、位置を計算で求める必要があります。そんなわけで、地中掘削機械、宇宙機、さらにはロボットなどの方向&位置計測にジャイロ効果は使われています。
GPS衛星だって、ジャイロはなくてはなりません。
乗り物やロボットなどの姿勢制御に、ジャイロ効果を直接的に利用するものもあります。
向きを知るために、向きを制御するために、これからもジャイロ効果、つまりはコマに、私たちは頼らざるを得ません。
今も私の本棚には、地球ゴマが眠っています。
これほど大切なジャイロ効果について、その基礎の基礎を勉強させてくれる地球ゴマに、ありがとう! そしてこれからも、よろしく! です。
追記
レビューを拝見すると、地球ゴマのガタつきに苦言を呈していらっしゃる方が何名かいらっしゃいました。
この場を借りて、ガタつきの調整法を書かせていただきます。
地球ゴマの北極側の軸受けは「調整ネジ」になっています。マイナスドライバーでこれを回すと、軸受けとコマの軸の隙間を調整できるようになっています。
あまり締めすぎると回転を邪魔してしまうので、いじりながら調節してください。
軸受けにうっすらと機械油をさすと滑らかに回るようになります。
ただし、油を大量にさすと逆効果ですので、ご注意を。
プレイヤー数 | 1 |
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電池使用 | いいえ |
電池付属 | いいえ |
対象性別 | 女性 |
製品サイズ | 5.41 x 5.21 x 4.8 cm; 81.65 g |
ASIN | B001EA0YC4 |