おそらくは、ソニックユースにもジェイムズ・ブラウンにも縁がなかったはずのお年寄りが、音楽監督のボブ・シルマンに与えられたテーマ曲に取り組む姿がなんとも言えず微笑ましくもあり感動的です。普通ならせいぜい「Love Me Tender」や「Georgia On My Mind」のような無難なスタンダードでお茶を濁すのがこういうグループへのコーラス指導だと思うけれど、ボブの試みはそうした紋切り型を最初から考えていない。取り上げられた曲は全て60年代以降のポップミュージック史上で最も重要なアーティストのものばかりで、しかもその選曲は曲のテーマが老人のモチベーションを刺激するようなもの。逆説的に見えるけれど、実は老人たちにもふさわしい選曲で、映画も来日公演に行った時もそのセンスには脱帽しました。老人が"I Feel Good"や"Forever Young"を歌う姿なんて、オリジナルをしょっちゅう聞いているものとして想像できなかったのですが、これはもしかすると老人たちのための歌だったのかもしれないと思うくらいです。"Stayin' Alive / I Will Survive"なんてタイトルを見ただけでシャレの効いたセンスに思わずニヤリ。