期待通りのサウンド。ポップでキャッチーながら、多彩で奇抜でひねりが効いているアレンジメント、しかし過度に流麗にならず、多少のぎこちなさも内包しつつ豊潤で濃密に響くサウンドメイキング。そして全体としては小難しさを感じさせない解放感にあふれている。どれも、カッコ付の「ポップス」好きには堪らない特性だ。
私はクイーンとビーチ・ボーイズ(ブライアン・ウィルソン)のファンなので、その観点で聴いてみたのだが、非常に類似性を感じたのがMIKAだった。ただ、MIKAがクイーンよりだとしたら、ポールはビーチ・ボーイズ、それもかなりブライアン色の入った方向感、に近いかな、と。
こうした良質作品がメジャーレーベルで発売されない今の音楽産業の罪作りなところを恨めしくも感じるが、日本がちゃんとそれを救ったあたり、日本人として誇りに感じたい。
人気出てくれるといいなあ、と素直に応援したい作品です。