内容紹介
前作はスタジオ・ライヴということもあり、轟音とユーモアとが折り重なったワイルドなサウンドを繰り広げた中原昌也が、本作ではゆったりとした時間の流れの中で、大いなる物語を語り始める。 目に見えぬ、誰からも振り返られないものたちをその反復の中で呼び寄せ、彼らに彼らの物語を語り始めさせるかのような、深い奥行きから音が聞こえてくる。 16分に及ぶ「R.I.P. Old Dirty Bath Towel」(タイトルは、ウータン・クランのメンバーでもあったオール・ダーティ・バスタードへのリスペクトでもありパロディ)は、ひとつの音のサーガでもあるような大きな展開を見せ、今後のヘア・スタイリスティックスの方向を暗示させる曲ともなっている。 本人描き下ろしによるジャケット。
アーティストについて
ヘア・スタイリスティックス(=中原昌也)プロフィール 1970年東京都生まれ。 88年頃よりMTRやサンプラーを用いて音楽制作を開始。90年、アメリカのインディペンデントレーベルから「暴力温泉芸者=Violent Onsen Geisha」名義でスプリットLPをリリース。その後も『OTIS』『QUE SERA,SERA (THINGS GO FROM BAD TO WORSE)』などのアルバムを発表。ソニック・ユース、ベック、ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンらの来日公演でオープニング・アクトに指名され、95年のアメリカ・ツアーを始め海外公演を重ねるなど、日本以外での評価も高い。97年からユニット名を「Hair Stylistics」に改め活動。2004年に待望のアルバム『custom cook confused death』が発売された。音楽活動と並行して映画評論も手掛け、阿部和重との共著『シネマの記憶喪失』(文芸春秋社)、14名の批評家や映画監督、小説家などとの対談集『映画の頭脳破壊』(文藝春秋社)などが発売中。また98年に初の短編小説集『マリ&フィフィの虐殺ソングブック』(河出書房新社)を発表した後、2001年に『あらゆる場所に花束が……』(新潮社)で三島由紀夫賞を受賞、2006年には芥川賞にノミネートされるなど、作家としてもますます注目を集めている。この3月には、2004年から2007年8月までの3年半の日記を集めた『中原昌也 作業日誌 2004→2007』が発売されたばかり。