米国のインストゥルメンタル・トリオによる3rd(REMIX曲が大半だった前作を含めれば4th)。過去にISISやMASTODON、最近だとFALL OF TROYやRUSSIAN CIRCLESの作品を手掛けている売れっ子Matt Bayles(ex.Minus The Bear)をプロデュースに迎えた8トラック/51分。ループフレーズを螺旋状に組みアゲていく昂揚+扇情的なサンプリング・ナレーションに「語らせる」仕様自体はこれまでと同じだが、全体的に「角がとれた」音像が印象的。さながら、経年により艶やかな丸みを帯びた古材に触れるような昂ぶりを感じる。
呟きに近い女声をネタに、70's progのダウナーな気配を膨らませるオープナー"Checksum"。旋回するKeyやシンフォニックなコーラスで彩りながら、基幹ではハードコア譲りのキメ/タメ/ブレイクを展開。全般に、初期の直接的で尖ったアジテーションは角を丸めて感じられ、サンプリングされたスピーチ/ナレーションも、音全体で語る上でのパーツの一つとして機能。その最良形とも言えるTr.3"Beyond God And Elvis"から、作中最も熱いスピーチ(MARIOSAVIOの64年"Barkley Free Speech")が炸裂する"An Ounce Of Prevention"へ、都会的な、どこか殺伐としたエネルギーを振り撒く"The First Five"へと繋がっていく。8分超に渡って展開されるラスト"Hammer & Nails"では、異常に心地良いノスタルジーが、やがて爆発的な上昇気流に呑まれて昇華。混沌すら巻き込んで、なお肯定的に突き進んでいくオーガニックなグルーヴが今作を象徴して轟き、響く。とりあえず、個人的にはなーんも文句ありまへん。最高です。初聴時のインパクトは別として、楽曲の完成度としては過去最強だと思います。