1981年作。
ヴァージンでの2作でジョルジオ・モロダーの元で70年代ロックの垢を洗い落としたスパークスが、RCAへの移籍とともに地元L.A.のパンクバンド「ベイツ・モーテル」をバックに迎え、久々にロックバンド形式で新作を録音した。
力強さとオモチャのような安っぽさの同居したベイツ・モーテルの演奏が、スパークスのキッチュな魅力を80年代の空気の中で再生した。プロデューサーはモロダー所有のミュージックランド・スタジオのエンジニア、ラインハルト・マック。クイーン後期やELOの名作で知られる彼の、幾重にも音を重ねて作った狂躁的なパワーポップ・サウンドこそが、当時の世間がスパークスに求めていた音そのものだったと、あらためて気付かされる。当初はチープ・トリックのリック・ニールセンがプロデュースする計画があったという話も、うなずける音だ。
アメリカ帰国以後パンク→シティポップス→ディスコと(傍目には)迷走し、困惑させられていたファンも納得の、久々の「スパークスらしい」快作。結果的にビッグヒットにはならなかったものの、アメリカ西海岸のローカル局で頻繁にオンエアされ、次作以降のプチブレークの下地となった。なお、発売当時の各曲邦題は以下の通り。
01,十代に警告
02,ファニー・フェース
03,ホエアズ・マイ・ガール
04,アップステアーズ
05,ボクの彼女は火星人
06,ウィリーズ
07,ドント・シュート・ミー
08,守護神スージー
09,憧れのナスターシア
10,ワッキー・ウィメン