「よっしゃ聴くぞ!」と思って聴くと、力が抜けすぎていて肩透かし。だけど、散歩中、乗車中、作業中、読書中、会話中、何かしながら、ぼうっとして、頭の片隅で聴いていると、すごくはまる。かといって、薄っぺらい、ただの作業用BGMなんかじゃ、無論ない。じっくり聴くと、曲はものすごく良く練りこんで作ってあるし、ギターと歌の良さは無論、控えめだが極上のグルーヴを刻むリズム隊も流石。しかし、それら全てが、自己主張することなく、全ての音が、あるがままの風景、背景として、ただそこにある感じ。実に渋い。
抽象すぎる感想にならないよう、音楽性についても少し。ハートフルな歌とフォーキーなギターのバッキングには、ボサ・ノヴァ+レゲエ+ファンクといった感じの、リズミカルだが出しゃばらないリズム。歌メロは、大仰さは皆無、サビも盛り上げすぎずごく控えめ。曲はいずれも良くできているが、とびぬけた曲があるのではなく、アルバム全体を通して、けだるくもせつないカラーで通している。が、個人的なお気に入りは、4曲目。ややヒップホップ的な歌いまわしとファンキーなリズムが、レッチリをゆるくして、もっとメロウにした感じで、ちょっとアルバムカラーに、変化をつけている。
ハワイアンということで、もっと南国臭・異国情緒・民族調かと思いきや、それらの要素は、根っこのほうに溶かしきって、表面には、とても聴きやすくしているのが、万人に愛されるところだろう。