独裁者の私生活から独裁者の素顔を垣間見る
ヨシフ・スターリンは、ロシア革命の指導者レーニンの死後、ソ連で実権を握り、1953年に死去するまで独裁的権力をふるった。その人生は、政敵との権力闘争、体制に異論を唱える物に対する粛清など、血なまぐさい話題に事欠かない。しかし本作では、そうした表の歴史ではなく、スターリンの身近にいた人びとの証言を取り上げている。娘のスヴェトラーナ・アリルーエワ、養子のアルチョーム・セルゲーエフ、孫のガリーナ・ジュガシヴィリとアレクサンドル・ブルドンスキー、あるいは身辺警護を担当した人びとなどが、自分が直接見聞きしたスターリンの姿を証言する。
また、歴史家の口からは、スターリンが神学校から放校になった理由は革命運動ではなかったのではないかとの説や、十月革命勃発時には後に妻となるナデージダを口説くため現場に姿を見せていなかったこと、晩年に身近で世話をした女性は治安機関があてがったという説など、スターリンの女性関係についても紹介される。
こうしたプライベートの姿から、スターリンという独裁者の複雑な素顔が垣間見えてくる。
監修・解説:井上 徹
2003年作品
制作:TV CHANNEL RUSSIA (ロシア国営テレビ)