印象的なジャケットにも惹かれる、各レビューで大絶賛のバンドの日本デビュー盤。本来は40分足らずなんだが、それ以前のEP盤の曲やボートラも追加した全17曲の決定版(しかも安い!)。それにしても突如こんなバンドが現れるんだから、アメリカってやはり広い。それも、グランジ以降のロックの一大拠点ともなったシアトルからだよ!
バンジョー、マンドリン、フルート、ピアノといった、トラディショナルな楽器を駆使し、得もいわれぬ“浮遊感”を伴いつつ、よく練りこまれた楽曲に、過不足のないバンドアンサンブルと美しいハーモニーで紡がれた世界は、どこかの教会で「賛美歌」を聴いているかのような、ロックともフォークとも、ゴスペルとも違う、神秘的かつ荘厳な音空間。実に心地いい。「○○みたい」と例えようがないから表現しづらいけど(笑)。
個人的には、ロックバンドには「色気(毒気?)」とか「タフさ」「泥臭さ」みたいなもんも不可欠だと思っているので、少しばかり“スパイス”が足りないかなぁ。ビーチボーイズにはB・ウィルソンがいるべきだし、CS&Nよりも、N・ヤングが絡んだCSN&Yの方がいい、みたいな感じ。なので少々喰い足りなさもあるのも事実なんだが、これから“ロード”で鍛えられていくんだろうね。うん、期待を込めて見守りたい。