ナノムゲンフェスの前夜祭で彼女の歌を聴き、家に帰ってから半ば衝動的にCDを注文したとき、一瞬後悔の念に駆られた。
ライブハウスで聴いた彼女の歌は、深海の穏やかなブルーに包まれているような、淡く、はかなく、それでいて心に響くものだった。
しかし、それはいわゆるライブという高まった状況の中で、いわば催眠術のような幻想に惑わされていただけではないか、そのような不安が頭をよぎったからだ。
しかし、届いたCDを恐る恐る再生すると、その不安は一瞬にして消え去った。
彼女の歌声はその中でも健在であり、羽根布団に寝転がっているようなふわふわしたメロディーはやはり心地よかった。
それでいてはっきりした発音で歌う彼女の声は、不思議な迫力があり、安定感がある。
歌詞にも独特の世界観があって、それもまた素敵なのだが、ここで語るのはやめておこう。
まずは、歌詞など気にせず、ただ目を閉じて、聴いてほしい。
彼女の歌声は、ゆっくりと体にしみわたり、安らぎを与えてくれるだろう。
唯一言うならば、何曲かには他の音(彼女のギターと歌声以外)が入っているが、余計な楽器は入れず、彼女の演奏だけを楽しみたかった。
だが、それをとってあまるほどの素晴らしさがある。
車の中で流せば、のんびりとした穏やかなドライブを楽しめるだろう。
あまりにも心地よくて、眠くなってしまうかもしれないが(笑)