脚本家デイヴィッド・マメット(David Mamet)の制作ということで、大きな期待をいだいて観はじめたのだが、正直なところ、第1期は総体的に低調な内容で、落胆した。
ただ、第2期以降、急速に充実しはじめ、いつのまにか夢中になってしまっていた。
とりわけ、それまでの一話完結型の形式を放棄して、ひとつの大きな物語を物語ることにスタイルを変貌させた第2期〜第3期は、息をつかせないほどの面白さであった。
ただ、全4期を観終わり、正直な感想を述べさせてもらうならば、このTVシリーズは、結局のところ、「優秀」(Good)な作品ではあるが、「偉大」(Great)な作品にはなりきれなかった残念な作品ということができると思う。
驚嘆するほどに優れたエピソードがあるかと思うと、凡庸なエピソードがあり、結局、最期まで全体的な質を安定させることがなかったのである。
ただ、第4期の放映の終了後、うちきりが決定されたときには、やはり非常に残念に思った。
斑がありながらも、この作品がたいへんな魅力に溢れた作品であることは否定しようのない事実であるからである。
“Inside Delta Force”という合衆国の実際の特殊部隊の活動に取材をしたこの作品には、たくえつした知力と体力を誇る選抜きの兵士達が主人公として登場するが、彼等の造形は常に現実と地続きのところに描かれる等身大のもので、非常に好感がもてるものである。
一般の視聴者にとっても、彼等が体現する人間としての叡智と機知と強靭さは、正に興味と畏敬の対象となるものであろう。
また、そこには、極限状況がわれわれの内部に醸成することになる根源的な葛藤と対峙しつづけるために、実のところいかなる人間としての耐性が必要となるのかという重大な問いにたいする洞察が開示されている。
この作品の魅力とは、視聴者が見上げることのできるそうした偉大な人物像を描くことに作品がその焦点を明確に置いていることにあるのだと思う。
単なる娯楽作品であるだけでなく、生きぬくことを宿命づけられた存在としてわれわれ視聴者が常に衝きつけられている根源的な課題にたいして問いを投げかけてくる作品――これはそんな魅力をもつ作品である。