【解説】 ある朝巨大な虫に変身してしまったグレゴール・ザムザをめぐる不条理文学、「変身」は、カフカの代表作であり、彼の作品の中ではもっともポピュラーな小説である。20世紀文学の金字塔としての評価も高い。 映画「変身」はカフカの原作を、ロシア屈指の演出家で鬼才として世界的にも著名なワレーリイ・フォーキンが、諧謔にみちたエッセンスもまるごと取り込んで、原作に忠実に映画化した衝撃作である。 また、主演のグレゴール役を演じたロシア演劇界のプリンス、エヴゲーニイ・ミローノフのグロテスクに這い回る様は、壮絶な印象すら残し、見るものを圧倒する。 完成後は東京国際映画祭を初め、いくつかの映画祭に出品されたが、中でもガッチーナ国際映画祭では最優秀主演男優賞と共に最優秀脚本賞を授与され、そのカフカ解釈を高く評価された。 【物語】 両親(イーゴリ・クワシャ、タチヤナ・ラヴロワ)と可愛い妹(ナターリヤ・シヴェツ)と暮らすグレゴール(エブゲーニイ・ミローノフ)。ある朝目を覚ますと、彼は一匹の巨大な虫になっていた。