2009年8月発売。
創刊から30年、固定客が多そうなイメージのあったこのカルチャー誌もついに休(廃)刊。
メインの特集は「2000年代カルチャー総括」ですが、連載等含め通底しているのは"休刊"について。冒頭の菊地・湯山対談をはじめとして、SV休刊の原因かもしれないといわれる"広告ベースモデル"(広告費を基にした制作)について、遠巻きではあるものの端々で触れられています。
00年代評として興味深かったのは、佐々木・三田・宇川鼎談の中で、1990年代を代表するミュージシャンがいまだに活躍していることについて「全体の水位が下がっているので、彼らが浮き上がって見える」と述べられている点です。それはつまるところ、少子高齢化を暗示しているように思います。その影響は2010年代にどのように作用するのか…しかし、それを検証するような媒体が出てくるのかということ自体藪の中ですが。orz
個人的に不満な点は、00年代カルチャーの総括であるにもかかわらず、9.11が文化に与えた影響についてあまり触れられていないことと、06年に起きたアルベルト・スギ絵画酷似事件について全く触れられていない点です。9.11の文化へ余波は"ストリートカルチャー的リアル"の実態が、実は"現実から乖離したバーチャル箱庭"であることを明らかにし、その世界を一掃してしまいましたし、絵画酷似事件は"プロの創作/選者の眼"に対する信頼を根底から覆してしまいました。ともに文化的に重大な事件だと思いますが、テーマが大きすぎて軽く扱えないのか? あえて外したのか? 少し物足りなく感じました。
SV誌の休刊は、虚像(ここでは広告ベースの雑誌制作システムと実売部数)が可視化すると、脆弱な実体が破綻するという、00年代経済・文化の縮図のような出来事だったように思います。惜しくありつつも、興味深くもあり、一読者の胸中としては複雑です。
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STUDIO VOICE (スタジオ・ボイス) 2009年 09月号 [雑誌] 大型本
●特集
どこよりも早い
ゼロ年代ソウカツ
どこよりも早い
ゼロ年代ソウカツ
ゼロ年代がどんな時代だったかなんて、いまわかるわけがない!
と作っている私たちだって思う。
振り返るには時間が必要だし、批評には冷静な視点が欠かせない。だけれども私たちは、とりあえず最後の号でまだどこも手をつけていないゼロ年代の総括をこころみる。
●オマージュ
●ゼロ年代の死者たち
●FILMS 鼎談:樋口泰人×北小路隆志×五所純子
●ART ゼロ年代アートソウカツ論&アート・トピック5
●PLAY 岡田利規インタヴュー
●DESIGN&ARCHITECTURE 対談:佐藤直樹×松本玄人
●MUSIC ゼロ年代の100枚
●鼎談:宇川直宏×佐々木敦×三田格
第二特集 セロ年代ヴィジュアルランゲージ
ホンマタカシ×大森克己
マーク・ボズウィック
ヒシャム・アキラ・バルーチャ
鈴木親
高橋恭司×鵜飼悠
第三特集 カットアップ(ノー)フューチャー
KOCHITORA HAGURETIC EMCEE'S インタヴュー
成田舞 インタヴュー
佐々木中 インタヴュー
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浮舌大輔 インタヴュー
ヨナタン・メーゼ インタヴュー
スペクタクル・イン・ザ・ファーム インタヴュー
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