本作「チューリング」は前作「ティンジャーラ」より、もっといいかも知れない。
ピアノと三線を絡ませた今回のアレンジも私は好きである。唄い方はさらに上手になっている。
曲調は「ティンジャーラ」とは違うが私は好きである。
母となった強さと子を愛する優しさが唄に溢れている。それも良かった。
ただ、前作よりも元ちとせを彷彿とさせる曲もあった。本当は本人が、こうした唄い方を好きなのかも知れないと思った。

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公開名

神谷千尋の新境地

2016年12月1日に日本でレビュー済み

　沖縄民謡界の若手のホープ・神谷千尋の通算3作目となるミニアルバム。
デビュー作『美童しまうた』よりPops寄りと言われる前作『ティンジャーラ』と比べても
更にPopかつ都会的なサウンドになり、
所々に三線の音が聞こえる以外には民謡の面影はない。
神谷のヴォーカルにも民謡の面影が時折見え隠れする程度でしかない。
しかし、『美童しまうた』『ティンジャーラ』から大きく入れ替わったサポートメンバーによって
新たに作り出された楽曲・サウンドは、
神谷の持ち味を損なうことのないよう十分に配慮されているのみならず、
限られた曲数（7曲）ながら曲調のバラエティに富んでおり、
むしろ表現の幅を広げるのに大きく貢献している。
これまでの2作品においてと同等かそれ以上に歌詞を大切に歌う神谷の姿勢も、
聴く者の耳によく伝わってくる。
　民謡出身でありながら民謡の枠に留まらない神谷が
「一皮むけた」ことを示す傑作と言っていいと思う。

2017年6月20日に日本でレビュー済み

ずいぶん前の話ではあるが、彼女はライブで、同じ世代(年齢も一緒と言っていたような・・・)のとあるミュージシャンの登場にショックを受けたと発言していた。同じ歌を歌うものとして(同じ唄者として)嫉妬と悔しさ、そして素晴らしさとが綯い交ぜになったと。そして、神谷千尋はそのライブで宇多田ヒカルの『Automatic』を彼女の歌で表現した。これを聴く限り、彼女の今回のアプローチは非常に納得がいく中身である。『美童しまうた』や、より島唄ポップ寄りのアルバム『ティンジャーラ』等と比べても楽曲の雰囲気が全然違うので戸惑うリスナーもいると思う。しかし、彼女の唄者としての力量で、かなり聴き応えのあるアルバムになっている。個人的に本アルバムのベストトラックは『カナーサヨー』である。また、最後の曲も中々に良く、終盤の大団円の中から聴こえる彼女の『こっちにおいで！』にはハートを撃たれてしまった。神谷千尋の唄者としての挑戦を等身大で感じれる中々に味のある愛聴盤になりました。

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