待望の映像化作品です。絵本の雰囲気をそのままに、残像を使ってあたかも動いているように自然に見せる読み聞かせのDVDで、アニメーションではありません。朗読者折笠は6歳設定のリサの声としては優しい女の子らし過ぎ、やや違和感がありますが、声優として芸達者です。まあ、『たいくつないちにち』『リサのおうち』『リサとサンタクロース』はいずれも「あのリサにしては」罪の軽いお話なので、これで良かったのかも知れません。
特典映像「リサとガスパールの生活」はまことに楽しいものでした。『たいくつ』での表見返しの絵はリサのおばあちゃんの家付近の田園風景です。雨の中傘をさして遊ぶ二人が茂みの中まで潜り込むのに感心しました。『サンタクロース』はタイトルバックの絵で、ガスパールがクリスマスツリーの飾りつけを段々に完成していくのが面白いです。リサが出てきて飾り帯をガスパールにも絡めてしまい、迷惑そうに顔を向けられるところなど、二次創作的楽しさでした。
「作者インタビュー」はアンヌ女史中心のお答え部分とともに、DVD「ガスパール」の巻とも共通する新しいアトリエの紹介が収録されていました。
「リサとガスパールと巡るパリの街角」はリサ中心のぬいぐるみを使ったロケ写真集です。DVD「ガスパール」の巻とはBGMが異なり、ワルツでした。
なお、2010年展覧会場限定版には、使われたBGMのCDが特典として付いています。新進の邦人音楽家野崎による作曲で、アコーディオンなどを使った演奏は軽妙で優しい仕上がりとなりました。1ガスパールオープニングテーマ、2リサオープニングテーマ、3おだやかな日々、4ワクワク、5ドリーム、6ふしぎなおうち、7おもちゃ工場パート1、8リサとガスパールエンディングテーマ、の約20分です。2「リサ」に関してはやや鈍重な印象を受けましたが、5「ドリーム」は本当にとろけるようでした。万難を排してこちらを入手されることをお勧めします。