このフィギュアをレビューするにあたって、「律ちゃんはおでこ可愛い」「おかしくねーし!」
などと至極当然のコメントをしてしまっては、レビューの有用性にいささか欠けてしまうので、ここはあえて少し批判的なレビューでもしてみようと思う。
同社製品の中野梓(日焼け)のレビューでも書かせて頂いたが、先ず気になるのは土台部分である。
シリーズ共通の、砂浜と呼ぶにはあまりにも中途半端な出来だ。これなら黄色あたりのクリア素材で普通の土台にした方が映えるだろう。
そして右足に差込部分があるのだが、これがやたら固く、完全に差し込むにはドライヤーで暖めるなどの工夫が必要である(慎重に行わないと土台が折れるので注意)。
次に塗りについてであるが、全体としてはまずまずなものの、関節部分がやたらピンクっぽい。
人によっては「これは日焼けだからそのうち真っ赤になってお風呂痛いだろうなぁペロペロ」などの脳内補完が必要なレベルである。
そして造型について。体型は間違いなく律ちゃんである。
どの辺がとは申し上げにくいが、軽音部を5人並べてこれは田井中律であると判断できる体型だ。
ややマニアックな評価をすると、ビキニパンツの引っ張られ具合が凄く良い。
頭は例の如く稼動式なのだが、ここで問題がある。律ちゃんの髪のハネだ。
これがかなりの硬度でハネており、愛情余って勢いよく掴もうものなら手痛いカウンターを喰らってしまう(冗談抜きで出血する)。
あえてカチューシャを外そうとする隊員の愛を試しているとも言えなくないが、この凶器的な造りには訓練された隊員も「おかしーし」と洩らしてしまうことだろう。
最後に箱についてであるが、「あそんだ、あそんだ〜。もうご飯食べて寝ようよッ♪」などと、まるで部長らしからぬ、律ちゃんらしい台詞が添えられている。
これも中野梓同様、原作を大事にした好感の持てる作りだ。
さて色々と指摘したものの、このフィギュアに関しては写真ではなく実物を見る事をオススメする。
前髪で誤魔化しが効かない分、顔が写真と微妙に異なる印象を受けるだろう(他社プライズでも気になったが眉の角度が原因か)。
また、細かい指摘をするなら写真では右肩の接続が甘いように見受けられるが、実物はしっかりとくっついており、造型面での心配は無い。
総評としては、隊員補正を考慮してもおおむね満足の仕上がりだった。