2010年にリリースされたレミオロメンのアルバム。曲によってピアノやストリングス等を取り入れていくスタイル自体は従来通りであるものの、小林武史プロデュースを離れたこともあって、前作のような「仰々しさ」が程良く薄れた感じでしょうか。
また、『虹をこえて』や『ありがとう』『花鳥風月』のように、明るく軽やかな面を強調させた楽曲が目立ち、良い意味で「吹っ切れた」ようにも思えます。メロディに仕掛けられたフックも多く、彼らの過去作と比べて聴きごたえが大幅に増したように感じられました。
特に良いと思えたのが終盤の3曲。優しく包み込むような『Tomorrow』、打ち込みを取り入れて都会的な雰囲気を演出した『東京』で終わりに向けて盛り上げていき、最後にフォ-キーでしんみりとした『小さな幸せ』で締めるという構成は見事と言えるでしょう。中でも、『小さな幸せ』はシンプルなサウンドの中にメロディの良さが凝縮されており、個人的にはレミオロメンの中で屈指の名曲に仕上がっていると思います。
『HORIZON』とはまた違った方向性でポップな面を徹底的に追求し、それがしっかりと形になった傑作。レミオロメンは『3月9日』や『粉雪』くらいしか知らない……という方にこそ、是非聞いていただきたいアルバムです。