先ず、今作は百姫編(モモヒメ)と鬼助編(キスケ)という異なる物語が楽しめる今時珍しい2Dアクション。
カテゴリーはA・RPGだが、RPG的な要素(レベル制やエンカウント戦闘等)が含まれるというだけで、
中身は横スクロールアクションと言っても差支え無いだろう。難易度設定も無双(easy)、修羅(nomal)、死狂(hard)と
3種類用意されており、死狂以外はいつでも難易度変更可能なので、非常にユーザーフレンドリーな作りと言える。
その証拠に、ゲームを余りしない家族は無双をクリアでき、私自身も修羅→死狂と楽しんでいる。ちなみに、購入は1年程前だが、
プレイは最近なので今更のレビューとさせて頂く。コントローラーはリモコン+ヌンチャクを使用。
■ストーリー
装備した刀によって主人公それぞれに、3種類ずつ、合計6通りのエンディングがあるというマルチエンディング方式だが、
物語の進行が結構淡々としているので、良く言えば進行の妨げにならずあっさり、悪く言えば少し物足りない。
特に、最後の真エンディング2つは途中までの展開が同様の為、どちらも期待したほどでは無く普通だった事が少々残念。
■アクション・やり込み要素
スティックとAボタンのみで様々な剣劇アクションが感覚的に繰り出せるのは気持ち良い。物語のキーアイテムである妖刀(全108本)それぞれに、
無敵判定のある固有必殺技「奥義」があり、刀に霊力(耐久力)を設ける事により、折れた場合も刀の持ち替えにより全体攻撃「居合斬り」が
出せる等、少ないボタンで攻撃や回避の駆け引きが楽しめるのは素晴らしかった。ただ、アクション好きから言わせて貰うと、
それでもアクション要素が物足りないと感じてしまった。具体的には、プレイヤーの腕では非常に厳しく、奥義頼りでゴリ押しにならざるを
得ない場面がある、役立つ刀と役立たない刀の差が激しい、1周目以降の刀収集時には、アクションに少々飽きが来る等。
また、敵の数もそこまで多くなく(モーション自体は多い)、百姫編と鬼助編でボスが全く違うが、最終的には双方のボスを
再度倒さなければならず新鮮味に欠ける。欲を言えばここは使い回しではなく、全く新しい隠しボスぐらいは登場させて欲しかった。
敵が大量に登場する各地に点在する「魔窟(まくつ)」にしてもやり込みと言えなくも無いが、2D故に敵が重なり合い攻撃モーションが見辛く、
1対多の物量的な内容ばかりかつ、奥義使用頻度が上がる為、後半には作業と感じてしまう場面もしばしばあった。
■世界観・音楽
兎に角、終始非常に「目」を楽しませてくれる。2Dフィールドという平面な中にも何層もの奥行を感じさせる
キャラクターを走らせているだけで見惚れる美麗な背景。飯屋・茶屋での「食事」(刀作成に必要な「生気」の入手手段)や
集めた材料による「料理」(体力回復や様々な効果が得られる)等の「食」へのこだわりの感じられる和むアニメーション。
ちょっとした昔話の小ネタ、突っ込み所満載の会話等、正に各地を旅している感覚を味わえた。
また、そのビジュアルを引き立てる「通常時」「戦闘時」でスムーズに切り替わるメリハリのあるサウンドもまた優れている。
通常のRPGの様に無駄にファンファーレ等が入らない分、プレイの流れを妨げない。ただ、「大神」の様に戦闘評価が
一回一回出るのはスピーディな動きの「間」を取る為なのか、せっかちな方は少々鬱陶しいと感じるかも知れない。
■総評
個人的にはもっとアクション面を特化させても良いと感じたが、その分万人向けで気軽に楽しめるアクションと言えるだろう。
天候が違う等の演出はあるが同じ様な作りのマップが多かったり、直近の祠(セーブポイント)にワープするアイテムや籠、舟等の
移動手段があるとは言え、1周目以降は移動と雑魚戦が少々億劫に感じられる場面もあったが、素直に続編をプレイしたいと思えた
新規タイトルなので購入して正解だった。昔懐かしいアクション、和風ゲームを求めている方にお薦め。