僕もこれを最初、聴いたとき「あれCD間違ったかな」と思うほどハーバートらしくない地味な印象だった。しかし、僕は元々、内省的なネオアコは好きで、なんとハーバートからその香りがするのだった。今回、本人がすべて一人でやっていることで、まずハーバート自身のボーカルが、内省的であるということが大きいと思う。そして曲ももちろんプログラミングされたものでありながら、どこか心象風景のようなものを感じさせる。全10曲46分が、非常に淡々と朴訥と進んでいく。だから、これまでの華麗な転調などのメロディアスな部分を求めたとしたらアウトかもしれない。しかし、一つの音楽CDアルバムとしては、自分の感覚の中では、例えばペン・ワットの1stやフェルトの初期なんかに近い感覚で聴くことができた。それは儚いモノクロ写真のような世界観で、それを気に入れば、心にスッと入ってくるアルバムだと思う。
まあ最初は、ほんと面食らいましたけど…