エイベックスからでた新譜「高橋悠治の肖像」(AVCL−25452〜3)を聴いた。
2枚組、計10曲収録されたCDで1964年から2007年までの間に作曲された曲が並ぶ。
☆ジョン・ダウランド帰る(1974)を聴く。 朗読:波多野睦美 ギター:笹久保伸
ダウランドの書簡とリュート歌曲のパロディで構成されている。伴奏のギターがボトルネック奏法を聴かせる。電子楽器を使わなくても変調できるとでもいわんばかりに。
☆はじまりのことば オルフェウス教の(1989)を聴く。 朗読:波多野 オルガン:保田紀子
ゲーテ晩年の短詩の朗読につづくオルガン曲。これは明らかにメシアンのパロディ。しかし、なかなかに美しい曲。高橋悠治の作品の中で最もエロティックな曲?
☆おやすみなさい(2005)を聴く。 歌:波多野睦美 ピアノ:高橋悠治
深夜放送終了前に読まれた石垣りんの詩。高橋と長年協働した三弦奏者高田和子のために書かれた最後の作品。詩がすばらしい。いい曲だ。
☆さまよう風の痛み(1981) ピアノ:高橋悠治
韓国の詩人・高銀の「臨終」につけた歌曲のフレーズを再構成したもの。3分31秒の曲だが、美しい曲。ジョン・ケージの美しい作品と見紛うばかり。
このCDは2009年7月18日に水戸藝術館コンサートホールのライブ。ひさしぶりに高橋悠治の曲を聴くことができて嬉しかった。孤絶の人。彼の孤独な戦いは続く。