アルジェリア生まれのベーシスト、Michel Benitaが結成したグループ「Ethics」のファーストで、この後、ECMから「River Silver(2016年)」をリリースすることになります。
メンバーは、Matthieu Michel(フリューゲルホルン)、Eivind Aarset(ギター)、Philippe Garcia(ドラムス)そして、Mieko Miyazaki(みやざきみえこ・箏)。
Miyazakiさんがより大きくフィーチャーされており、Michelのフリューゲルホルンがサウンドの要であったECM盤とは趣を異にしています。
Miyazakiさんはヴォーカル、詩の朗読も披露。2曲目「Someday」は、矢野顕子さんを思わせる歌いぶり。そして、6曲目「Man Wo」では、箏の雅やかな演奏に続いて、石川啄木の次の詩が語られます。
「赤! 赤! 赤といふ色のあるために どれだけこの世が賑やかだらう。 ・・・・・ 今一寸、一寸笑ヘなくなつた。 俺には悪いくせがある。」
欧米のリスナーには、さぞかし新鮮に響くボイス、そしてサウンドだと思います。
AarsetのギターもECMよりは自己主張しており、3曲目「Monday」は、ロックそのもの。
8曲目「Green Power」がGeorge Harrisonに捧げられた曲であり、ラストがそのGeorge Harrisonの「Blue Jay Way」であるのも注目すべき点。
ECMの「River Silver」の方がジャズ風に聴こえるということは、Manfred Eicherの仕事は意外に王道を狙っているのだと気付きました。
そして、Benitaの音楽に対する斬新な姿勢に共感するアルバム。