私は、このレコードをいつ買ったのかよく覚えていない。多分、高校の頃、駅前のレコード屋だと思う。なぜこのLPをチョイスしたのか、おそらくジャケットに引き寄せられてか。だって、名盤でも話題作でもなく、まだA. Farmerもよく知らなかった。今もよくわからない。
しかし、このレコードからはジャズに係るいろいろなことを知るきっかけを得た。B. Golsonのこと、B. Timmonsのこと、H. Silverのこと、曲のこと、そして、ニカ男爵夫人のことなどだ。ただ、Farmerのことは、ほとんどなかったと思う。
収録曲が素敵だった。みんなカッコいー曲だった、編曲だった、演奏だった、そう強く感じた。実は、Nica’s DreamもMoanin’もFive Spot After DarkもMinor Vampもこれが最初の出会いだったと思う。いっぺんで好きになった、曲名を覚えた、メロディーを覚えた。
そして、これを機に「そば屋の出前持ちも口ずさんだ」(by S. Yui)というJMの“Moanin’ ”や“Au Club St. Germain”に、この作品から一週間後(‘59/5/21)の録音となるC. Fullerの“Blues-ette”に、めぐり合うのだ。いってみればあの『ゴルソン節』に・・・
今みると面子が凄い。Lee Morgan, Ernie Royal, Jimmy Cleveland, Curtis Fuller, Percy Heath, Philly Joe Jones, Elvin Jones, Bobby Timmons・・・・
最後に、United ArtistsというLabelは、素晴らしいJazz作品をたくさん残している。3 Blind Mice, Modern Art(A. Farmer), B. Golson And The Philadelphians, Undercurrent(B. Evans), The Ivory Hunters, Booker Little 4 and M. Roach, Sliding Easy, Love for Sale(C. Taylor), Mingus in Wonderland, Money Jungle, Matador(K. Dorham), Stereo Drive(a.k.a. Coltrane Time), A Night at the Half Note(Z. Sims) etc.
・ニカ男爵夫人のマメ情報:富豪ロスチャイルド一族の娘パノニカ・ロスチャイルド、ジャズのパトロン(女性だからパトロネス)、無宿者となっていたC. Parkerを自室で看取る、T. Monkは彼女の自宅ピアノでPannonica、Brilliant Cornersを作曲等々。 調べてみてください。ドラマチックですよー。
・彼女にまつわる曲:Nica・My Dream of Nica(S. Clark), Blues for Nica(K. Drew), Tonica(K. Dorham), Thelonica(T. Flanagan), Nica's Tempo(G. Gryce)・・・