2007年、ミャンマーの軍政に対して行われた大規模デモを極秘に撮影し海外に届けた記者たちのドキュメンタリー。
貴重な映像だと思うし、緊迫感あるリアルな現場には息を飲んだ。
しかし、ドキュメンタリー映画として上手く構成されているかというと、そうでもないかもしれない。
社会派ドキュメンタリーでも多くは歴史や社会の前後の文脈を大きな視点で説明するナレーションが入ったり、他の歴史映像が使われたりするが、この作品はそう言うことがほぼない。
完全に、ミャンマーでこの時何が起きたのか基礎知識を持っている人向けである。
また、かなり淡々としている。ドキュメンタリーなのだからやたら視聴者を飽きさせないエキサイティングな構成なのもどうかとは思うが、分かりやすさや視聴者への親切さみたいなものはあまり考えて作られていない。
ミャンマー情勢や反政府デモといったテーマに強い関心がある人でなければ、途中で飽きてしまうかもしれない。
ただ、そういった点が悪いというのではなく、素人ウケははなから狙ってませんよ、という資料映像としての価値はもちろん高いと思う。
それにしても、この時から15年以上が経過したミャンマーが依然として強権的軍政下にあると思うと、非常に悲しいし虚無感を覚える。