尖ったバンドだという前評判を聞きながら実際には全然尖ってないバンドが多い中で、
これは簡単には出現できないぞという、逸脱した、独特の尖った緊張感を切り取った
ぐしゃ人間の2011年発表の3rd。
20代女子二人がこれだけイマジネーションと構成力フル稼働の、浮世離れしたディレクションするなんて
なんて末恐ろしい姉妹なんだろうと背筋が凍ります。
ドゥーム日本歌謡という概念が人間椅子によって作られてからの進み方として、
その後のカオティックハードコアやモダンヘヴィネス、マスロックと
日本のニューウェーヴやサブカルチャー、更にオタクカルチャーを真正面から被りながら
初期のパンク/オルタナティブの切迫感・焦燥感が根底に付き纏う曲者です。
気持ちを落ち着けられない人のためのストレス解放剤です。
昭和テイストの旋律を匂わせながら詞自体が「レトロを作っている」わけではなく、
逸するか正常かというラインの気持ちが今の言葉で素直に表されていて
現実と地続きになっていそうなスリリング感にも興奮する。
そして前述したコアなシーンの熱量を受けながら、
どの曲も日本の歌物として消化していくことへの他には聞けない敏感なセンス。
このアルバムでは、元来の懐の深さや趣向のディープさ・見せ方に加えて
ぐしゃ人間が持つ攻撃性の頭角を上手く現すことができており、
将来ぐしゃ人間のディスコグラフを見た時にも秀逸なアルバムとして輝く一枚だと思います。
是非ともこのバンドがこれからも飛躍しますように。