フランソワ・オゾン監督が描くファンタジー。娘のリザとふたり暮らしのシングルマザー・カティ。勤め先の工員・パコと恋に落ちた彼女は、彼と暮らし始め赤ちゃんのリッキーにも恵まれる。そんなある日、リッキーにある異変が起きる、ということである。
フランソワ・オゾン監督の切り口は面白い。
赤ちゃんに、天使の羽根が生えてくる。何と空を飛んでしまう。空を飛んで、消えていってしまう。
母親が入水自殺を図ろうとすると一瞬だけ、リッキーが飛んで戻ってくる。
でももう戻ってこない。
しかし、家族は幸福を見出す。
80分ほどの映画であり、着想は面白いが、尻切れトンボの感を免れない。たしかに、リッキーが戻ってきても、処し方に困るということだろう。
別な視点、
フランスの労働階級の生活は日本の団地生活を思わせ、かなり貧しい。
素性も知らぬ男と簡単に関係を結んでしまうというのも、こんなものかと考えさせられる。
娘は、移民の男が転がり込んできたりしても、凛としている。しっかりものだ。ぐれたりしない。母親よりよほど大人だ。