個人的に、この人の振ったデュティユー管弦楽曲集が非常に好きで、BBCフィル時代のトゥルトゥリエには随分とお世話になったものだが、ちょっと見ないうちに、なぜかサンパウロ。サンパウロ?何で南米!?
思わず目が点。しかもわざわざ南米まで出張っていっておきながら、やっぱり仏のシュミットを吹込む、あまり良く分からない彼の信条に趣を感じ、シュミットふぇちの私も、マエストロの南米詣でに付き合うことにした。
今まで一度も注意を向けたことのなかったサンパウロのオケ。それをわざわざSACD録音。どんだけ〜?と思いつつ耳にしたのだが、開始早々これは大変失礼な考えであったと、すぐさま反省することになった。
非常に優秀なオケで、このところ立て続けに出ている他のサロメ録音とは三役と平幕力士くらい違う。このサロメ録音は、演奏と録音だけをとったら、間違いなく歴代最高の名録音だろう。
それだけに、ちょっと勿体なかったのは、相変わらず素っ気ない時はどこまでも素っ気ないトゥルトゥリエの指揮。もし、このオケと録音で、競合盤のヤニック=セグンあたりが振っていたら、サロメ至高の名盤が完成しただろう。上手く行かないものだ。さっぱりと速めのテンポで流す彼の指揮がそれでもサマになるのは、このオケが圧倒的に優秀だからに他ならない。これはBBCフィルもそうだったのだが。
・・・チッ、運の良いヤツだ(最後は口惜しさの余り悪口に。申し訳ない)。