![spoon. (スプーン) 2011年 08月号 [雑誌]](https://m.media-amazon.com/images/I/51rxnwDitCL._SX342_SY445_.jpg)
TVドラマ「鈴木先生」が、24ページにわたり特集されています。
第八話撮影直後に行われた土屋太鳳さん、未来穂香さん、武富健治さんによる
7ページ１万字にわたる鼎談と、撮り下ろしグラビアで構成されています。
長谷川博己さん3カット、太鳳さん、未来さん共に浴衣姿で各3カット。
さらに表紙と同コンセプトの見開きが1カット収録されています。
未来さんが太鳳さんの手を取り、顔を寄せ、秘めた想いを囁くような
透明な官能が匂う艶やかに美しい作品です。
災害のただ中に撮影された「鈴木先生」は、3月11日以後の世界を感じる作品でした。
直接描かれておらずとも、時代と拮抗しようとする意志がありました。
なおかつ映像がメッセージの道具に陥らず、生身の豊かさが表われた
真っ当な実写化となっています。
容易に否定できる事柄を取りあげ、それを諭すことで高見に立つあり方をせず
事柄の背景を真摯に学びつつも、決して背後には廻ろうとしない態度。
対象と正対して向き合い、返り血を浴びること。
そんな鈴木先生だからこそ、問題がないように見える日常が
「普通」の人々の摩耗によって成り立っている事に気づけたのだと思います。
重き荷を降ろさせるのではなく、正しい背負い方を思考する事によって、歩きだせるようにする。
キワどい話題でも、熟考する事によって、真っ当な命題へと降ろしていく様が描かれています。
そしてキャスティングが稀にみる見事さです。
太鳳さんが「このメンバーで出来たのは奇跡」とおっしゃられていましたが
長谷川さんや教師陣はもちろん、生徒一人一人に至るまで
キャスティングが演出そのものとなっています。
若くとも俳優として自律し、表現の孤独を引き受けた上での結束を感じました。
才能によって集まり、向上心と人柄によって繋がった現場である事が伺えます。
「スペシャルファクター」小川蘇美の特別さは、演出による色付けではなく
間違いなく土屋太鳳という人間そのものから溢れ出た光でした。
松岡茉優さんが2-A俳優陣を評して「個性の塊。将来有望の匂いがプンプンする」と
書かれたように、この豊かな現場を起点として多くの才能が羽ばたく事でしょう。
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