飄々とした風貌、一聴するとリキみの無い曲調。
しかしその内面に秘めた熱い心。
現代のヌルい日本の音楽シーンで誰よりも熱い。
ストレートな歌詞もあれば、ダブルミーニング的に
別の(本当の)意味を隠している歌詞もある。
2011年だから出来たアルバム。正に記録。
「内に秘めた熱さ」斉藤和義に対して「熱さ剥き出し」な
中村達也の対比も面白い。
フロア1発で彼と判る存在感はズバ抜けている。
「オバケが出るぞ」ならぬ「狼が来るぞ」なワケだ。(笑)
蒼い炎と赤い炎が交じり合うかの様な2曲は圧巻。
初回版のスタジオライブ音源は単なるオマケ特典ではなく
震災で傷ついた人へのメッセージだったり応援だったりとも
受取れる、1本の太いしっかりとした軸がある選曲だと思う。
時に力強く励まし、時にそっと寄り添い、時に共に嘆く。
そう捉えると、各楽曲がこれまでとは違った表情、
意味合いを持ってくる。
「空に星が綺麗」は最も判り易く顕著な例だろう。
幼き日、無邪気に唄った「ドレミのうた」で涙を流したのは初めてだ。
「本当の事なんて書けやしない」というフレーズの通り
これが彼の言いたい事の全てではないだろう。
添削されたり、蹴られた楽曲もあるだろう。
それでも彼を、このアルバムを潰す事なく、
リリースしてくれたレコード会社、プロモーションしてくれる
TV各局、雑誌、全てに感謝。
清志郎も喜んでいるだろう。
神様は間違えてしまったけれど、これからはあなたが唄う番だ。
泉谷には「募金集めもイイけどオマエのやるべき事はコレだろ」と
このアルバムを渡したい。
音楽がチカラを失ったと言われて久しいが
日本には斉藤和義がいる。
なんとも心強く、頼もしい。
全ての日本人に、特に若い子達に聴いて欲しい。
オッサンの俺はしっかり受取った。
君はどうだい?