The Fall、2011年の新アルバムです。
基本路線は前作、前々作、前々々作、前々々々作・・あたりから脈々と続く、
「ロックンロール原点回帰路線」的なものを貫きつつ、
随所に今風のエモバンドがやりそうなバックコーラスや、
ヤングマーブルジャイアンツあたりを彷彿とさせるような女性ボーカル曲、
そして昨年マーク・E・スミスがインタビューで公言していた
「ギリシャ風へヴィメタルの新曲」など、ざっくばらんな、
かつこれでもかといわんばかりにThe Fall節全開の曲がぎっしり凝縮された作品となっています。
と、まあこんなふうに書くと当たり障りのない、
ベテランバンドのいつも通りの新作、と捉えかねられないのですが・・
(そして一方で間違いなくこのアルバムはそのタイプのアルバムなのですが・・)
収録曲第5曲目の「Greenway」、
これだけはぜひともがっつり聴いてみていただきたいと思います!
先のインタビューで「ギリシャ風へヴィメタル」と表現していたこの曲は、
まさに文字通りのへヴィメタル。
これだけはこれまでのThe Fallにはまず見られなかった、
まったく新しいタイプの曲で、これでもかといわんばかりにオードソックスな、
NWOBHM調のドラム、ギター、べース、ボーカルが炸裂しています。
さすがもともとへヴィメタバンドのボーカル志願だったことはあるなあ、
と思う、結成30年目?にして初の驚きの新境地です。
この曲1曲でこのアルバムを買ってよかったなぁ・・と心の底から思いました。
一方非常に残念だったのが録音の質。
近作全般に見られることですが、このアルバムの録音は中でも一番ヒドくて、
まるでスタジオでのデモ音源を聴いているような印象が終始耳に残り続けました。
別に音質フェチなわけでもないのですが、さすがにこれは、
いくらThe Fallとはいえ少しテンションが下がってしまいました。