　シューマンのピアノ協奏曲の音が出た途端に音の美しさに打たれました。透明感と自然な広がりから演奏会場の雰囲気を捉えた心地よさを感じます。アルゲリッチの勘所をおさえた、よく歌う、冴えた演奏はなんともいえぬ素晴らしさです。クリスチャン・アーミンの指揮による新日本フィルもこれに呼応した立派な演奏を披歴しています。アルゲリッチのシューマンとショパンの協奏曲のCDは十数種類手元にありますが、今回の演奏もまた、どの演奏とも違う新鮮さと音楽性を感じます。幾度弾いても毎回新鮮に聴こえるというのは演奏家として持って生まれた資質として素晴らしいものだと思います。
　梶本音楽事務所によるプロデュースのCDは初めてです。N&Fの録音・制作技術にはマルチマイクの凝った収録と編集では得られない自然さを感じますが、収録の詳細はライナーノーツ等には書かれていません。当日お聞きになった方のレビューがありますのでマイク・セッティングの情報があれば知りたいと思っています。この録音はこれで完成を見ている納得の仕上がりですが、会場の響きの質がよく、しかも長いので、マイクがもう少しピアノにもオーケストラにも寄った感じで、会場の長い響きが少なめに、しかし響きが残った感じになる編集のものも聴いてみたいなと思いました。SACDを制作する予定があれば実現を期待しています。
　また、CD製造を仙台市のオプトロムで行うという、震災復興のチャリティー企画としての配慮がなされているところも見逃せません。

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chat calico

美しさと繊細さに感動

2012年1月30日に日本でレビュー済み

Amazonで購入

演奏も録音も素晴らしいアルバムだと思います。ライナー・ノーツによれば、すみだトリフォニーホール、新日本フィル共にアルゲリッチさんのお気に入りとのこと、まさに万全の体勢で録音されたメモリアル・アルバムのようです。

さて、録音時間をアルゲリッチさんのDG盤やEMI盤と比較すると、シューマン、ショパン共にテンポが若干遅くなっていますが、古希を迎えるにあたり速さを抑えたというよりも、曲の持つ情感を丁寧に表現した結果と思われ、とても繊細で心の琴線に触れる演奏となっています。

最近はもっぱらCDでもTVでも室内楽が目立つアルゲリッチさんですが、こんなに美しい協奏曲アルバムを、しかもチャリティの形で出していただき、ただ感謝するばかりです。

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スカンピンボーイ

内心は少し複雑

2019年3月3日に日本でレビュー済み

2010年12月、すみだトリフォニー・ホールでのライブ録音。
収録されているのはシューマンの「ピアノ協奏曲」とショパンの「ピアノ協奏曲第1番」
指揮はクリスティアン・アルミンク、演奏は新日本フィル。
当初は世界発売の予定であったが2011年の震災によりチャリティーCDに変更されたものだ。
ピアノ、オーケストラ、録音、全て言うことなし。
最高です。
しかし震災から8年が経とうそしているがいまだ完全復興したとは言い難し。
音楽で感動はしたものの内心は少し複雑な気分となった。

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海原泰山

☆シューマン、ショパン共に、アルゲリッチ女史の、ベスト・テイク。

2017年5月30日に日本でレビュー済み

　数年前、街のレコード店で、購入。「東日本大震災・被災者支援の、チャリティＣＤ」と言う事で、お値段の張る、ＣＤだったが、なかば、お義理で、買い求めた。
　ところが、コレが、良い演奏だった。
　まず、始めの、シューマンのピアノ協奏曲が、素晴らしい。アルゲリッチ女史には、同曲別テイクが、有るが、ピアノのパートで言えば、この演奏が、一番、雄弁で、良い。「リパッティ氏」⇒「ベネデッティ＝ミケランジェーリ氏」⇒「アルゲリッチ女史」と言う、ピアニズムの系譜を、アルゲリッチ女史は、正当に、受け継いでいる。
　ところが、これが、ショパンのピアノ協奏曲第１番となると、アルゲリッチ女史の演奏は、もっと、素晴らしくなる。この曲も、アルゲリッチ女史には、別テイクが、存在するが、文句なしに、この録音が、ベストと言える。アルゲリッチ女史自身、会心の出来映えでは、無いだろうか。
　このＣＤで、残念なのは、伴奏の、オーケストラのパートが、少し、こじんまりとして、聴こえる事。不満は、それだけだ。
　こと、ピアノのパートに関しては、シューマン、ショパン共々、アルゲリッチ女史の、ベスト・テイクと言える。
　アルゲリッチ女史の、ファンは、もちろん、そうでは無い人でも、決して、無視できない、一枚。これだけの優れた演奏を、聴いた後では、ピアノに向かうには、よほどの度胸が、必要である。
　・・もう、音楽は、止めてもイイ。そう、思える程の、強い説得力が、このＣＤには、有る。

2011年11月30日に日本でレビュー済み

録音（ライヴ）：2010年11月28日（ショパン）、同12月1日（シューマン）、すみだトリフォニーホール。

この音源はもともとショパン＆シューマン生誕200周年、アルゲリッチ来日40周年と翌年の70歳の記念として世界に販売される予定のものでしたが、東日本大震災で心を痛めたアルゲリッチが日本のためにチャリティーCDとして販売することにしたという経緯があります。

ショパンのピアノ協奏曲第1番とシューマンのピアノ協奏曲はいずれもアルゲリッチの十八番中の十八番なので、どちらの演奏も素晴らしく、私としては大満足です。また、アルミンクは調和というよりも楽器一つ一つがしっかりと主張するようにオケを仕上げており、どの楽器も鋭く音が立ち上がってきます。

特筆すべきは録音の質です。特にピアノの音の再現性が極めて優秀で、コンサートの生音に近い音を聞くことができます。

どうもピアノ演奏をCDで聞くと生演奏からかけ離れている録音が多くて残念な経験をよくするのですが、本盤では「そうそう。アルゲリッチのピアノの音ってこんな感じだよね。」という納得感が得られます。

そんなわけで、私と同じような経験をお持ちの方には是非オススメしたいCDのひとつです。

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絃道鍛冶屋

ライブの感動そのまま

2012年10月28日に日本でレビュー済み

２０１０年の来日のときは、ショパンとラヴェルの協奏曲の日に実際に聴いたのですが、シューマンとショパンのこの日の演奏もすばらしく、当時の演奏が思い出されました。
ここでのアルゲリッチは、とにかくエネルギッシュで集中がきれることなく、一気呵成に弾いています。ショパンは全体的に大事に演奏していると感じられますが、シューマンは特に第三楽章の終わり近く、演奏時間でいうと９分過ぎあたり、テーマが展開されヒートアップして行くところとか、鳥肌が立つくらい良いです。演奏、録音とも申し分なく、愛聴盤です。

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シューマン、ショパン:ピアノ協奏曲

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