満を持してリリースされた、バンド活動13年目にして初のベストアルバム。
また、初めての全国流通作品でもあります。
個人的には、2007年にリリースされた『love letter -Dark Mania-』がA面ベストだとしたら、今回の『e'【acute】』はB面ベスト、という印象。
アンミュレの代表曲的なポジションの「絵空事の色彩」「手紙」「楽園」「ラブレター」は収録されていないものの(敢えて外したのだろう)、激しい曲からミディアムバラードまで、緩急のついたバランスの良い選曲。
彼らの音が彩る光と影。
お馴染みの楽曲群の中へ生々しいリアルな再録ver.を挟むことによって、旧曲の印象まですっかり変えてしまうから驚いた。
これまで幾度もライヴで演奏され、大切に温められてきた楽曲たち。
度々アレンジを加えられながら研ぎ澄まされ変化していった様子が伺える、非常にライヴ感のある仕上がりだと思いました。
薄ぼんやりとした白黒映画の画面のようだった映像が、パキッとしたカラーになった感じ(しかし薄型テレビではなくブラウン管、笑)。
80'sポジパン&90's黒服系の血を受け継ぐ希少なシーラカンス。
侘び寂びの効いたモノクロームの景色・赤く熟れた熱情を秘めた妖艶なステージング。
ダークなバンドがお好きな方にはきっと気に入って頂けるはず。
同期には殆ど頼ることのない、シンプルなサウンドが生み出す狂気を孕んだ世界。
そして時折、雲間から射し込む白い光。
アンミュレの音源を初めて聴く人にとっては入門編、コアなファンは過去からの絶妙な変化を楽しめる優れたベスト。
まさに「集大成」…と言いたいところだが、きっと彼らにとっては通過点にすぎないのだろう。
この音源がお気に召した方は、是非オリジナルアルバムも手に取ってみてください。
幽閉された世界をご賞味あれ。