どういう経緯でこれだけの豪華かつバラエティに富んだ顔ぶれとなったのかは分かりませんが、
「とにかくよくもこれだけの面子を集めたな」とびっくり仰天させられる素敵なアルバムとなっています。
RAM RIDERさんのキラキラハウス系の音自体は、今は一昔前のモノといった感じで新鮮味は
あまりないのですが、そこを越えて、個性豊かな共演者たちが一曲一曲に新鮮な風を吹き込んで、
アルバム全体として、活きのいい飽きさせない出来となっています。
それにしてもこのアルバム、人選が本当に面白いですね。
この点に、RAM RIDERさんの音楽家としての確かな懐の深さとクリエイティヴィティを感じさせてくれます。
野宮真貴さん、スチャダラさんを頂点としたMEGさん、フルカワミキさん、南波志帆さんという、まあ言ってみれば
文化系(もしくは渋谷系)の流れを汲んだアーティストの流れの中で、スッと中川翔子さんを選んできているのには本当に驚かされました。
自分は歌手としてのしょこたんをめちゃくちゃ評価しているので、より音楽的な人たちと絡んでいくことは
非常に良いことだと思っていて、この面子の中にしょこたんがいることがとてもうれしく感じています。
さらに面白いのは、お笑い芸人のバカリズムさんが参加していることですね。
話題になったPVの作画もすごいのですが、「放課後★サスペンス」では歌詞まで書いていて、
バカリズムさんの世界観全開の歌詞となっていて、そのシュールっぷりにはとにかく脱帽させられます。
さらにその歌を歌っている藤岡みなみさん。彼女は「PANDA1/2」というユニットをパンダのパペットとやっているのですが、
その音楽性は、曲タイトルからして「上海は夜の6時」や「中華街ウキウキ通り」や「PANDA PANDA PANDA」など
全てがピチカートの「東京は夜の七時」小沢健二の「痛快ウキウキ通り」フリッパーズギターの「カメラ・カメラ・カメラ」への
オマージュとなっているくらい明確に渋谷系リスペクトを打ち出しているんです。
しかも、曲名は完全なお遊びですが、中身の藤岡みなみさんのボーカルやサウンドはかなりハイクオリティなところがすごい。
最初、今どき渋谷系かと思ったのですが、聴いてみたら良いものは良いと思わせられるだけの音楽への愛がある仕上がりなのです。
配信限定ですが、気になった方は、ぜひYOUTUBEなどで聴いてみて下さい。
で、ちょっと話は戻ってです。奇跡みたいなことなんですが、昔gyaoでやっていた
しょこたんのブレイクのきっかけとなった「溜池NOW」という番組なんてすが、その司会を増田ジコロウというパペットがやっていたんですが、
その声を当てていたのが実はバカリズムさんなんですね。で今、藤岡みなみさんの歌う曲の歌詞をバカリズムさんが書いていて、
その藤岡みなみさんは、パンダのパペットとユニットを組んで音楽活動をしているという奇跡!!
そしてRAM RIDERさんが、その三者を一枚のアルバムに集わせ、本当に不思議なつながりとしか言いようのない現象を生み出している事実!!
しかし、これは単なる偶然ではないでしょう。自分がここに最終的に感じたのは、中野〜高円寺〜吉祥寺辺りの
JR中央線サブカルつながりとか、または溢れ出る孤高性、異質性というキーワードだったりします。
最後に、また長々と書かせてもらいましたが、とにかくこのアルバム、これほどまでにいろんな意味性を
妄想させられるような素晴らしい出来となっていますので、興味を持った方にはぜひ聴いてみて欲しい一枚です。