京都のエクスペリメンタルロックバンド、祈念すべき2ndフルにして傑作。
勢いを増したというのは文字通り楽曲の勢いと、バンドとしての勢いである。
前作はアルバム全体が揺蕩うような、ゆったりとした流れる世界観があったが、今作は根本的に楽曲に勢いがある。
例えば一つ言えばスピード感が前作より遥かに上(といっても極端に速いわけではないが)、そして楽曲の力強さが今までの内包されジワジワと感じられるソレではなく、外部にも発散されているのが今作の特徴である。
今までのような精神性はそのまま日本語詞によって表しながら、より楽曲としての幅を広げている。
バンドの編隊もそのまま変態的であり、上記解説を引用するならば『Vo.Gu.、ツインドラム、ツイントランペット、コントラバス、エンジニア』の7人組だという(といってもライブ映像で全員揃ってるのを観たことが無いような気もry
ただし前作と明確に違うと感じたのは、前作はよりミニマル的で内向的な感覚が強かったのに対し、今作はよりライブバンドとしてロックへ一歩寄ったような感じがある。
勿論コレはVo.の心境の変化やバンドとしての成長なども含めたものであるに違いない。
他のバンドとは一線を画す世界観を醸し出すバンドであり、一つのマスターピースをここに掲げたと言って過言ではないと思う。
やはり楽曲中で正にお祭り騒ぎなほど派手な#2の存在感は凄い。そこからゆったりとダブが掛かったかのようなふわふわとした世界観から突き刺さるようなロックを展開する#3、美しいサウンドと柔らかな声が重なっていく#6、アルバム中最長8分にして〆を力強く歌う#9はシングルではインスト曲だったものの声が入る事によってここまで楽曲の色をガラリと変えるか・・・と思わせるほどの力を感じる。
アルバムは9曲50分。内容の濃い素晴らしい作品です。