アイドルソングのリスナーの中に楽曲派と呼ばれる人たちがいます。
彼らは文字通り楽曲の良さを第一に求め、アイドルとしての魅力の有無はあまり気にしない。
だからライブには行かないし、メンバーの名前もろくに覚えない。音源だけあればいい。
傍から見たらなんだか言い訳しながらアイドルソングを聴いてるようにも見えるのですが、
日本全国アイドルだらけのアイドル戦国時代に突入してから楽曲派は結構大きな勢力になりました。
そういう人たちに当時強く支持されていたのがこのTomato n’Pine。
ミュージック・マガジンが10点満点を与え、さらには2012年度J-POP部門のベストアルバムに選出するなど
冗談みたいな話ですが本当にあったことです。
実際本作を聴いてみると、シティポップや渋谷系などが好きな人のツボを抑えた楽曲が揃っており、
アイドルならではの未熟だけれどキュートなボーカルが見事にマッチしていて素晴らしい出来です。
これぞ隠れた名盤。しかも無名のアイドルグループがこんなアルバム出していたなんて驚きました。
ガールズポップが好きなら買って損はありません。
ただ、アルバムはこの一枚だけ出して解散してるんですよね。
前述したとおり楽曲派リスナーには支持されていたわけですが、音源だけ評価されてもアイドルはやっていけません。
ライブに来てもらって、物販でたくさん買ってもらってじゃないと。
もちろん、本人にもアイドルとしても魅力が無いとどうにもならないのですが、
テレビ番組で見かけるようなポジションにはいなかったので、
楽曲派リスナーには彼女たちがどういう女の子たちだったのかはずっと謎のままなわけで……。
まぁ、一枚だけだからこそ知る人ぞ知る伝説のアイドルグループという箔がついた面もありますが。