このアルバム以前の数枚のアルバムは、個人的にはあまり良い出来とは言えなかった。
軽いタッチの楽曲ばかりが多く、フックも乏しかった。「今度こそは」と楽しみに買っては、がっかりしていた。
前々作『Dirty Diamonds』と前作『Along Came a Spider』については、日本盤のリリースも見送られていた。
アリスもここらで心機一転、会心の一撃を我々にお見舞いしたかったのだろう。
「過去の名作の続編を作る」という選択をすることで歴代のメンバーたちやプロデューサー、ソングライター、はたまたKeshaなどの今をときめく強力な若い助っ人たちをかき集め(おそらく相当な制作費が用意されたはずだ)、全く隙のない、どの曲もフック全開の、全体の流れも完璧なアルバムが完成した。
'75年の名作『悪夢へようこそ』の楽曲を知っている人はニヤリとするであろうパートも多く(勿論知らなくても楽しめる)、終盤までまったく飽きさせない作りになっている。バラエティにも富んでおり、ハードロック、ストーンズのようなスウィングする楽曲、酒場の労働者のようなブルース、Keshaとのモダンでポップなデュエット、ついにはゴスペル風コーラスまで飛び出してくる。
アリス・クーパーからしばらく離れていたような人も、この作品については是非聴いてみて欲しい。