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恋愛中毒 (角川文庫) Kindle版

3.9 5つ星のうち3.9 1,356個の評価

商品の説明

内容(「MARC」データベースより)

どうか、どうか、私、これから先の人生で他人を愛しすぎないように…。世界の一部にすぎないはずの恋が、私のすべてを縛りつけてしまうのはどうしてなんだろう。都市の人々のこころを謳う恋愛文学。

登録情報

  • ASIN ‏ : ‎ B009GPM4PE
  • 出版社 ‏ : ‎ KADOKAWA (2007/12/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2007/12/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • ファイルサイズ ‏ : ‎ 2010 KB
  • Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) ‏ : ‎ 有効
  • X-Ray ‏ : ‎ 有効
  • Word Wise ‏ : ‎ 有効にされていません
  • 付箋メモ ‏ : ‎ Kindle Scribeで
  • 本の長さ ‏ : ‎ 384ページ
  • カスタマーレビュー:
    3.9 5つ星のうち3.9 1,356個の評価

著者について

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山本 文緒
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1962年神奈川県生まれ。OL生活を経て、人間関係の繊細なずれから生じる喪失、慈しみをテーマに作家活動を続け、現在に至る。『恋愛中毒』で第20回吉川英治文学新人賞を、『プラナリア』で第124回直木賞を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 再婚生活 私のうつ闘病日記 (ISBN-13: 978-4041970164)』が刊行された当時に掲載されていたものです)

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『恋愛中毒』(山本文緒著、角川文庫)では、32歳の女性が自らの過去から現在に至るまでの恋愛経験を、いや、恋愛経験というよりも性愛体験と呼ぶべきものを縷々、綿々と語り続けます。これほど、性愛への意識が日常生活のほとんどを占めてしまうというのは、私には、驚きです。普通ならば、このような話が際限なく続くと、途中で本を投げ出すところだが、この後どうなるのだろうかという好奇心に唆されて、一気に読み終えてしまいました。水無月美雨(みなづき・みう)は、大学の同期生との結婚、離婚を経験後、50歳が近い有名小説家の愛人、それも、本妻、愛人1号、2号、3号に続く愛人4号に収まります。愛人1号にのし上がろうと策略を弄する一方で、かつての夫への思いは断ち切れていません。「俺を見るな、と彼(=別れた夫)は言った。夫は顔をそらしたまま確かにそう言った。水無月といると見張られているような気がしてたまらないと。もう俺のことを見ないでくれと。どうすればよかったのだろう。そして、これからどうしていけばいいのだろう。先生(=愛人関係の小説家)は過去にもしもを持ち込むなと言った。けれど私は後ろを振り返らずにはいられない。どういうふうに人を愛すればうまくいくのか私には分からなかった。常にベストをつくしてきたつもりだった。なのに何故、私はこんなうらぶれた店で安いウィスキーなんかを飲んでいなくちゃならないのだろう。鳴らない携帯(=小説家からの)を見つめ、入ってくるはずのない人(=別れた夫)を待って」。「ある日突然、夫が私に冷たくなった。夫が言うには、突然ではなく、長い時間をかけてだんだんと私に対する愛情がすり減っていったということだったが、私にはどうしてもそれが突然の出来事に感じられて仕方なかった。夫がある日、笑わなくなった。私の目を見なくなった。話しかけても返事をしなくなった。食事を外で済ませてきて、帰ってきたらすぐテレビも見ずに布団に入って眠ってしまうようになった。休みの日は黙ってどこかへ出掛けてしまうか、家にいてもまるでバリアでも張るかのように本ばかり読んで、話しかけても必要最低限の返事しかしなくなった。私はそれだけのことでパニックに陥った。何しろ身に覚えがなかったからだ。小さな喧嘩はいくつかあっても、そこまで拒絶されるような大喧嘩をした覚えはなかった。何をきっかけに夫がシャッターを閉めてしまったのか分からなかった。もちろん本人に尋ねてみたが『別に』という冷たい返事が返ってくるだけだった。それでも半年ぐらいは我慢した。気分の移り変わりの激しい神経質な人だから、原因は分からずとも、放っておけばそのうちまた機嫌がよくなるだろうと自分に言い聞かせた。けれど同じ家に住んでいる限り、どうしても毎日夫の不機嫌な顔を見なければならない。もともと無口な人だったが、さらにもっと口をきかなくなった。そんな夫と同じ屋根の下にいるのが苦痛でたまらなかった。どうしたら以前の穏やかな暮らしに戻れるのか、その方法がいくら考えても分からなかった。結婚生活も長くなると、お互い必要以上は口なんかきかなくなって家庭内離婚状態になると本や雑誌で読んで知ってはいたが、よく世間の人達はこんな不穏な雰囲気の中で平気で暮らしているなと私は改めて驚いた。気が狂いそうだった。いや、狂いそうではなく私はその時既に狂いはじめていたに違いない。どうにも我慢できなくて、かといって泣きわめいて夫の態度を責めたらもっと事態が悪くなりそうで、何とか冷静になろうと、私は一晩だけ家をあけることを思いついた。入籍してから六年余り、一晩たりとも夫のそばを離れたことがなかったので、それは一大決心だった」。「先生のまわりの女を全て首尾よく追い払ったつもりでいたが、それは馬鹿な私の思い込みだったのだろう。・・・何もかも無駄だったような気がして、私は大きな無力感に箸を置いた」。最後の最後に至って、美雨自身の口から驚くべき事実が語られます。山本文緒の本は今回初めて手にしたのだが、山本作品をもっともっと読みたくなりました。
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