「三つ首塔」は昭和30年「小説倶楽部」に連載された横溝正史の長編推理小説。名探偵・金田一耕助シリーズの一作だが、ヒロイン音禰による回想手記の形をとっており、金田一の出番は極めて少ない。全体を通して女性視点で描かれている異色作であり、推理要素が少ないかわりに、事件の荒波に翻弄される主人公の女性をサスペンス要素たっぷりに描いている。
昭和30年9月17日。幼いころ両親を亡くし、伯父の上杉誠也にひきとられ幸せな日々を送っていた宮本音禰の身に、予想もしない出来事が起きた。曽祖父の弟で、アメリカで成功し大富豪となった佐竹玄蔵という老人の、百億円近い財産が譲られることになっていると告げられたのだ。ただし、遺産を相続するためには、高頭俊作という行方不明の青年と結婚することが条件として定められていた。
かつて佐竹玄蔵は武内大弐という山師に騙されたことがあった。怒った玄蔵は大弐の首を刎ね、そのまま行方をくらましたが、共同出資者の高遠省三は大弐殺しの罪を着せられ打ち首になってしまう。玄蔵はこの罪滅ぼしとして、高頭の曾孫である俊作と音禰を結婚させ、莫大な財産を譲ろうと考えたのであった。
それから半月の後、上杉誠也の還暦祝いが日比谷の国際ホテルで開かれたが、そのパーティーで最初の事件が起きる。舞台でアクロバットダンスを踊っていた笠原姉妹の妹・操、上杉誠也の依頼で高頭俊作を探していた秘密探偵・岩下三五郎、そして腕に相合傘の刺青が彫られていることから高頭俊作と思われる青年が続けざまに毒殺されてしまったのだ。
三重殺人事件のショックで意識を失った音禰は、ホテルの空室に担ぎ込まれ寝かされていたのだが、高頭五郎と名乗る男が侵入してきて貞操を汚されてしまう。男の卑劣さに怒りと憎しみを抱きながら、同時にその男に惹かれてしまう己の浅ましさに煩悶していた音禰の前に、高頭五郎は弁護士事務所の調査員・堀井敬三として現れたのであった。
高頭俊作が死んだことで、遺産は佐竹玄蔵の血縁で山分けされることになる。玄蔵老人には善吉・彦太という2人の兄がいた。善吉の系統では宮本姓となった音禰と、音禰の叔父にあたる佐竹建彦の2人。一方、彦太の系統では殺された笠原操を除き、笠原薫、島原明美、佐竹由香利、根岸蝶子・花子姉妹の5人が現存していた。
1人でも減れば取り分が億単位で増えることから、相続権を持つ者たちが次々と殺されていく。その嫌疑をかけられ、警察に追われた音禰は否応なしに堀井の元に身を寄せることになる。正体不明の男を恐れ憎しみながらも、しだいに惹かれていく音禰。いつしか二人は力を合わせ、玄蔵老人が建てたという蓮華供養塔「三つ首塔」へと向かうのだった……。
本作ではたくさん人が死ぬのだが、特別なトリックが使われるわけでもないのであまり印象に残らない。その反面、浅草のストリップ劇場「紅薔薇座」で披露された双生児の蝶子・花子姉妹による金粉・銀粉ショーや、池袋の「オリオン座」で巨人・鬼頭庄七と可憐な少女・佐竹由香利が演じるSMショーなど、戦後の性風俗の描写はかなり濃密で異彩を放っている。
清純な箱入り娘だった宮本音禰が、謎の青年に無理やり純潔を奪われ、命じられれば何でもする汚れた女になるわけだが、そこから爽やかな結末に至る展開は実に見事だった。合理的解決を厳守する横溝正史としては珍しい終わり方をする「三つ首塔」だが、冒険小説・恋愛小説的な観点で見るとなかなか面白い作品といえる。「女王蜂」が好きな方などは特に楽しめるだろう。
<登場人物>
宮本音禰 … 突然、百億近い遺産の相続人に選ばれたお嬢様。
宮本省三 … 音禰の父。国文学者。故人。
宮本節子 … 音禰の母。善吉の孫。故人。
上杉和子 … 節子の姉。善吉の孫で音禰の養母。故人。
上杉誠也 … 和子の夫。音禰の養父。某私立大学の文学部長。
上杉品子 … 自ら芸者になって誠也を育て上げた親代わりの姉。
お茂 … 上杉家の女中。
佐竹善吉 … 音禰の曽祖父。故人。
佐竹彦太 … 善吉の兄。故人。
佐竹玄蔵 … 善吉の弟。大弐を殺しアメリカへ逃げた大富豪。
佐竹建彦 … 善吉の孫。節子、和子の弟で音禰の叔父。
佐竹由香利 … 彦太の曾孫。オリオン座の芸者。
笠原薫 … 彦太の曾孫。操の姉で二人はアクロバットダンサー。
笠原操 … 彦太の曾孫。パーティーの最中に毒殺される。
島原明美 … 彦太の曾孫。バー「BON・BON」のマダム。
根岸蝶子 … 彦太の曾孫。紅薔薇座の芸者。
根岸花子 … 彦太の曾孫。蝶子の双子の妹で同じく芸者。
武内大弐 … 山師。騙されたことを知った玄蔵に殺される。
武内潤伍 … 大弐の孫。玄蔵が最初に遺産を譲ろうとした人物。
高頭省三 … 玄蔵の親友。大弐殺しの罪を着せられ斬首された。
高頭俊作 … 省三の曾孫。玄蔵が希望した音禰の結婚相手。
高頭五郎 … 省三の曾孫。俊作のいとこ。音禰に接近する。
鬼頭庄七 … 佐竹由香利の養父。二人で怪しいショーを行う。
古坂史郎 … 島原明美の愛人である美少年。
志賀雷蔵 … 紅薔薇座の支配人。蝶子と花子のパトロン。
岩下三五郎 … 上杉誠也が高頭俊作の捜索を依頼した秘密探偵。
黒川弁護士 … 丸の内にある黒川法律事務所の所長。
堀井敬三 … 高頭五郎の仮の姿。黒川法律事務所で働く。
法然和尚 … 三つ首塔こと蓮華供養塔にひとりで住んでいる。
等々力警部 … 警視庁捜査一課所属の警部。金田一耕助の相棒。
金田一耕助 … 雀の巣の頭にくたびれた着物袴。ご存知名探偵。
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金田一耕助ファイル13 三つ首塔 (角川文庫) Kindle版
少女時代に両親をなくし、伯父宅に引き取られた音禰に、遠縁の玄蔵老人からの遺産、それも百億円相続の話がまい込んできた。しかし、それには見知らぬ謎の男との結婚が条件だという。思いもかけない事態にとまどう音禰の周辺で次々と起きる殺人事件。おびただしい血が流された魔の惨劇の根元は、玄蔵が三人の首を供養するために建てた“三つ首塔”に繋がっていた――。
カバーイラスト/杉本一文
カバーイラスト/杉本一文
- 言語日本語
- 出版社KADOKAWA
- 発売日2002/1/11
- ファイルサイズ736 KB
- 販売: Amazon Services International LLC
- Kindle 電子書籍リーダーFire タブレットKindle 無料読書アプリ
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商品の説明
著者について
1902年5月24日、神戸市生まれ。旧制大阪薬専卒。26年、博文館に入社。「新青年」「探偵小説」の編集長を歴任し、32年に退社後、文筆活動に入る。信州での療養、岡山での疎開生活を経て、戦後は探偵小説雑誌「宝石」に、『本陣殺人事件』(第一回探偵作家クラブ賞長編賞)、『獄門島』、『悪魔の手毬唄』などの名作を次々と発表。76年、映画「犬神家の一族」で爆発的横溝ブームが到来、今もなお多くの読者の支持を得ている。81年、永眠。
登録情報
- ASIN : B009GPM6MA
- 出版社 : KADOKAWA; 改版 (2002/1/11)
- 発売日 : 2002/1/11
- 言語 : 日本語
- ファイルサイズ : 736 KB
- Text-to-Speech(テキスト読み上げ機能) : 有効
- X-Ray : 有効にされていません
- Word Wise : 有効にされていません
- 付箋メモ : Kindle Scribeで
- 本の長さ : 325ページ
- Amazon 売れ筋ランキング: - 86,980位Kindleストア (Kindleストアの売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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2023年8月30日に日本でレビュー済み
レポート
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2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2016年4月10日に日本でレビュー済み
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金田一の扱った事件の中で、物語のヒロインである、とびきりの美女を三人上げろというアンケートがもしあったなら…。
「犬神家の一族」の野々宮珠代、「女王蜂」の大道寺智子、そして本作の宮本音禰があげられるのではないかと思います。
彼女たちを妻とすれば莫大な遺産が手に入ります。まさに色と金が絡んで、登場男性諸氏はみな彼女たちにメロメロになります。
この三人の美女はいずれも甲乙つけがたいといいたいところですが、前者二人と音禰はまるで違います。
貞操の危機に遇いながらもナイトが現れ純潔を守る珠代と智子。それに反して音禰は開巻早々にある男に強姦されてしまいます。
その後も音禰はその男と会うたびに体の関係を深めながら、物語を進めていくのです。
なんとなく不謹慎な展開なのですが、心より先に体の関係ができてしまい、次第に男にのめり込んでいきます。
ヒロインに処女性を求めるタイプの方には不向きな小説です。
とはいえ、前半は金田一の都会物でよくあるエログロ、アングラな世界が満喫できます。
後半戦、いよいよ「三つ首塔」の現地に飛ぶとそこは播州黄昏村。岡山物を彷彿とさせる片田舎が舞台となります。
金田一の得意とする二つの世界が味わえるお得な長編と言えるでしょう。
二時間ドラマにするには肌色が多くなりすぎるので、規制ばやりの昨今では映像化はとても期待できません。
主人公が殺人犯の容疑をかけられ、逃亡しながら一方で真犯人を探すという話は非金田一ものである「女が見ていた」がありますが、音禰自身が懸命に真犯人を探し求めていたわけでもないので、星三つかと思いましたが、一週間以上も全身タイツ一枚のあられもない姿を披露し続ける美貌のヒロインに免じて星四つでお願いします。
「犬神家の一族」の野々宮珠代、「女王蜂」の大道寺智子、そして本作の宮本音禰があげられるのではないかと思います。
彼女たちを妻とすれば莫大な遺産が手に入ります。まさに色と金が絡んで、登場男性諸氏はみな彼女たちにメロメロになります。
この三人の美女はいずれも甲乙つけがたいといいたいところですが、前者二人と音禰はまるで違います。
貞操の危機に遇いながらもナイトが現れ純潔を守る珠代と智子。それに反して音禰は開巻早々にある男に強姦されてしまいます。
その後も音禰はその男と会うたびに体の関係を深めながら、物語を進めていくのです。
なんとなく不謹慎な展開なのですが、心より先に体の関係ができてしまい、次第に男にのめり込んでいきます。
ヒロインに処女性を求めるタイプの方には不向きな小説です。
とはいえ、前半は金田一の都会物でよくあるエログロ、アングラな世界が満喫できます。
後半戦、いよいよ「三つ首塔」の現地に飛ぶとそこは播州黄昏村。岡山物を彷彿とさせる片田舎が舞台となります。
金田一の得意とする二つの世界が味わえるお得な長編と言えるでしょう。
二時間ドラマにするには肌色が多くなりすぎるので、規制ばやりの昨今では映像化はとても期待できません。
主人公が殺人犯の容疑をかけられ、逃亡しながら一方で真犯人を探すという話は非金田一ものである「女が見ていた」がありますが、音禰自身が懸命に真犯人を探し求めていたわけでもないので、星三つかと思いましたが、一週間以上も全身タイツ一枚のあられもない姿を披露し続ける美貌のヒロインに免じて星四つでお願いします。
2023年12月20日に日本でレビュー済み
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年末年始の暇つぶしに読もうと買った。全364ページをパラパラとめくり、冒頭のみ少し読み始めたのがいけなかった。ついつい引き込まれて数時間で読了してしまった。金田一耕助シリーズは随分持っているのだが、この【三つ首塔】が一番楽しめた。登場人物が多かったが、この作者にしては珍しく把握しやすかった。年末年始は別の本を用意して読む事になりそうだ。
2009年6月2日に日本でレビュー済み
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この作品は主人公の女性の一人称で語られています。そのため他の横溝ミステリーのような本格的な謎解き小説とは一風変わったつくりになっています。
ストーリーは最初から息もつかせぬ展開で次々と事件が起こります。主人公の女性はその事件の荒波に翻弄されるような形であちらこちらへ行ったり来たりします。この小説は推理小説というよりも活劇・風俗小説とでも言えるものと思います。
ただこれらの事件を女性の視点から見て、女性の考え方で描写されているので他の横溝作品にはない新鮮な感動を与えてくれます。横溝氏はこのような女性の視点から物事を描写するという技量に長けていると思います。
ただ当時の性風俗の描写が詳細に書かれていて、慣れない人にはやや刺激が強いかもしれません。また犯人の設定にも無理がある印象で推理小説としては消化不良の感があります。
横溝ミステリーの中でも活劇に焦点を当てた異色作と言えるのではないでしょうか。
ストーリーは最初から息もつかせぬ展開で次々と事件が起こります。主人公の女性はその事件の荒波に翻弄されるような形であちらこちらへ行ったり来たりします。この小説は推理小説というよりも活劇・風俗小説とでも言えるものと思います。
ただこれらの事件を女性の視点から見て、女性の考え方で描写されているので他の横溝作品にはない新鮮な感動を与えてくれます。横溝氏はこのような女性の視点から物事を描写するという技量に長けていると思います。
ただ当時の性風俗の描写が詳細に書かれていて、慣れない人にはやや刺激が強いかもしれません。また犯人の設定にも無理がある印象で推理小説としては消化不良の感があります。
横溝ミステリーの中でも活劇に焦点を当てた異色作と言えるのではないでしょうか。
2020年8月11日に日本でレビュー済み
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角川文庫の横溝正史シリーズにすっかりハマってしまい,本作品を手にしました.
相変わらず次々と登場人物が殺されてゆくのですが,犯人が誰なのか,私には最後まで分かりませんでした.つまり推理小説として十分楽しめるのですが,しかししかし.本書の面白さは「謎解きのみにあらず」です.この手の本でのネタばらしはご法度ですので詳しいことは書きませんが,予想もしていなかったような意外な結末から受ける感動は,本シリーズの『八つ墓村』に似た読後感があります.
横溝作品としてはさほど有名ではないと思うのですが,とても楽しめる小説です.お奨めの一冊です.
相変わらず次々と登場人物が殺されてゆくのですが,犯人が誰なのか,私には最後まで分かりませんでした.つまり推理小説として十分楽しめるのですが,しかししかし.本書の面白さは「謎解きのみにあらず」です.この手の本でのネタばらしはご法度ですので詳しいことは書きませんが,予想もしていなかったような意外な結末から受ける感動は,本シリーズの『八つ墓村』に似た読後感があります.
横溝作品としてはさほど有名ではないと思うのですが,とても楽しめる小説です.お奨めの一冊です.
2015年4月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
古風な村での惨劇というのとは違います。書かれた当時が相当昔なので「現代」というのとは違いますが、現代風な作品です。
金田一は要所要所で出てきますが、基本的には主人公の女性が自信の観点、経験から進んでいく作品。
大作品とは少し風合いが異なりますが、謎解き、スリルどれも楽しめました。
金田一は要所要所で出てきますが、基本的には主人公の女性が自信の観点、経験から進んでいく作品。
大作品とは少し風合いが異なりますが、謎解き、スリルどれも楽しめました。
2020年7月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
テレビでこのドラマを観ました。TBS.系で、真野響子、黒沢年男主演の分です。とても面白かったので、直ぐにAmazonで探して、読みました。横溝正史にしてはちょっと異色な、読みごたえのある本でした。
2013年3月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
さまざまな性描写や風俗関係など、
普通に生活していてはあまりお目にかかれない世界を描かれていて
それが逃避行のめまぐるしさや、日常から裏側へ入り込んでしまった主人公の
視点と相まって、中だるみすることなく最初から最後まで一気に読み進めることが出来ました
金田一耕介の出番はあまりないのですが、
前半の主人公との対立(一方的なライバル心を持っている主人公)なども
なんだか年若い娘さんに対して「仕方ないなあ」とでも思っているような節があり
ラスト近辺でもそんな感じで、出番こそ少ないですが
ある意味、出番が少ないからこそ金田一耕介の人柄が見える話だと思います
推理というよりは、横文字のミステリーやドラマという言葉の方がなぜかしっくりくる今作品。
性描写などは物語の性質と展開上、避けて通る方が変なので
私はこういう必然な流れの中での描写はむしろ歓迎です
それに主人公の言い回しが古風で逆に新鮮で素敵に感じました
まあ、それもこれも最後が「結果よし」で終わるから言えたことなのですが
作者もそれをわかっているからこそ、いろんな非日常を詰め込んだのだと思います
楽しかったです
一点あげるとすれば、表紙に違和感…。
せめて「夜歩く風」にしていたらければと。
普通に生活していてはあまりお目にかかれない世界を描かれていて
それが逃避行のめまぐるしさや、日常から裏側へ入り込んでしまった主人公の
視点と相まって、中だるみすることなく最初から最後まで一気に読み進めることが出来ました
金田一耕介の出番はあまりないのですが、
前半の主人公との対立(一方的なライバル心を持っている主人公)なども
なんだか年若い娘さんに対して「仕方ないなあ」とでも思っているような節があり
ラスト近辺でもそんな感じで、出番こそ少ないですが
ある意味、出番が少ないからこそ金田一耕介の人柄が見える話だと思います
推理というよりは、横文字のミステリーやドラマという言葉の方がなぜかしっくりくる今作品。
性描写などは物語の性質と展開上、避けて通る方が変なので
私はこういう必然な流れの中での描写はむしろ歓迎です
それに主人公の言い回しが古風で逆に新鮮で素敵に感じました
まあ、それもこれも最後が「結果よし」で終わるから言えたことなのですが
作者もそれをわかっているからこそ、いろんな非日常を詰め込んだのだと思います
楽しかったです
一点あげるとすれば、表紙に違和感…。
せめて「夜歩く風」にしていたらければと。